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3人の初老の男たちが巻き起こすドタバタ・コメディ。
これまでのパトリス・ルコント監督作品を観てくれた人たちへ贈る監督からのプレゼントような作品でした。
「仕立て屋の恋」のミシェル・ブラン。
「髪結いの亭主」のジャン・ロシュフォール。
「タンゴ」のフィリップ・ノワレ。
「イヴォンヌの香り」のジャン=ピエール・マリエール。
各作品で独特な存在感を放つ4人の個性派俳優が集結。作品の中で大いに暴れまわっています(^_^;
この4人が1つの作品に出演しているだけで感無量ですね。
フランス、パリ。舞台劇の劇中、外に飛び出しタクシーに乗り込む俳優エディ・カルバンチエ。行き先は別の劇場でした。タクシーの中で衣装を着替えギリギリ出演に間に合い出番を終えると、また別の劇場へ・・・。
でも、決して売れっ子ではありません・・・そう、エディは端役中の端役。こうでもしないと稼げないのでした。
エディが所属するアトラス興行には、たくさんの役者が仕事欲しさにやって来ています。その中に、久しぶりに見かけたヴィクトール・ヴィアラの姿がありました。
長いこと休養していたヴィクトールも仕事とお金欲しさにやって来ていました。そして、2人は他の役者が契約間近の役を横取りしようと目論みます。
その仕事は、喜劇「スクビドゥ」の老人役。巡業の仕事でした。
2人は、この巡業を取り仕切るアルマン興行の社長シャピロンに取り入ろうとします。シャピロンは亡くなった父からこの会社を押し付けられ、さらに業績も悪化の一途を辿り破産寸前の状態でした。
そんなシャピロンにギャラは半分でいいからと懇願する2人でしたが、この役は3人組の役だからあと1人いないとダメだと断られてしまいます。それでも諦めないヴィクトールはある大物の名を口にします。
「あと1人います。名前はジョルジュ・コックス。大物です。」と・・・。
しかし、その大物の意味は「もめ事の大物」だったのです・・・。
と、なんだかんだで仕事を得る3人なのですが、まぁそこからがドタバタでしたね(^_^;
エディは無類の女好き。主演女優のカルラに執拗に迫ります。さらに、演技は台本を読まずに即興演技ばかり。スタッフから迷惑がられます。
ヴィクトールは端役なのに大げさな演技ばかり。カルラも迷惑そう。しかし、いざ本番になると極度に緊張してしまう気の小さい男でやはりスタッフに迷惑がられてしまいます。
ジョルジュに至っては、演技以前の問題。ギャラが少ないことで暴れ出し、役作りなど皆無でした。
つまり、3人ともハタ迷惑な大根役者だったのです(^_^;
さらに、破産寸前のシャピロンがこの巡業をぶち壊そうとカルラに襲い掛かります。巡業が中止なったときの保険金を手に入れるために・・・。
さて、この巡業の旅、どうなることやら・・・。
ジャン・ロシュフォール演じるエディは、エロキモいオジサン。
フィリップ・ノワレ演じるヴィクトールは、調子良いオジサン。
ジャン=ピエール・マリエール演じるジョルジュは、イカれたオジサン。
でも、この3人。なぜか憎めません。
特にジョルジュが新人女優を励ますシーンが良かったですね。彼らは大根であっても役者としてのプライドは一流なのでしょうね。
・・・でも、それが一番扱いづらい役者なのかもしれませんが(^_^;
シャピロン役のミシェル・ブランは、ずっとキレまくっていましたね。「仕立て屋の恋」とは全くの別人でした。
ラストは・・・というより初めからでしたが、んなバカなという展開のまま最後まで突っ走ったような作品です。
観客は大喝采。
演者は大団円。
パトリス・ルコント監督の初期作品における大団円でもありました。
Title:
GRANDS DUCS, LES
Country:
France (1996)
Cast:
(Georges Cox)JEAN-PIERRE MARIELLE
(Victor Vialat)PHILIPPE NOIRET
(Eddie Carpentier)JEAN ROCHEFORT
(Carla Milo)CATHERINE JACOB
(Shapiron)MICHEL BLANC
Director:
PATRICE LECONTE
