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1930年代後半のスペイン内戦で反ファシズムのため集まった民兵隊の姿を描いた作品。
イギリスの労働者階級をテーマに反社会を訴えていたケン・ローチ監督が初の海外製作に挑んだ力作です。それでも、庶民と社会の歪みを切実に訴えています。
イギリス青年デヴィッドは、民兵隊の組織POUMの勧誘でスペイン内戦の惨劇を知り賛同します。独り者で職も無いデヴィッドは「英国に未来はない」と言い切り、恋人のキットを置いてスペイン内戦の最前線へと身を投じます。
この頃は単純に虐殺を繰り返していたフランコをリーダーとするファシストたちを倒したいだけだったのですが・・・。
前線では気の合う仲間たちもでき、その中の1人の女性兵士ブランカのことが気になり始めます。
前線での暮らしは、緊張感のかけらもありませんでしたね。それが民兵隊の特徴でもあるのでしょう。規律を重んじる政府の軍人とは一線を画していた組織でもありました。
それでも、最前線で戦うためにやって来た彼らは、敵地にある村の解放作戦を決行します。
激しい銃撃戦。
民兵隊の優勢でしたが、ファシストたちはあろうことか村の女性を盾にして戦い始めます。民兵隊たちは、ためらいながらも最終的には女性たちをも撃ち殺してしまいます。
戦争の悲しさ、虚しさ・・・何とも言いようがありません。
民兵隊の勝利で村人たちも解放されましたが、戦いが終わったわけではありません。
村の今後を話し合う村人たち。すべての土地を1つにまとめ食料を分配する「集産化」を提唱する人もいれば、自分の土地は自分で守ると反対する人も現れ、話し合いは混沌としていきます。さらに、民兵隊の兵士たちにも意見を求め、それぞれの母国ごとの意見が飛び交います。
「反ファシズム」という同じ目的のために集まった人たちでも、他のことになれば意見がそれぞれ異なるこのシーンが印象に残ります。
次第にデヴィッドにも迷いが生じてきます。何を信じ戦えばいいのか。
デヴィッドが信じていた共産党ですら、内戦が生じバルセロナで味方同士の銃撃戦を始めてしまいます。
デヴィッドが信じたもの。
それは、主義や思想でもなく、判り合える仲間と愛する人だったのかもしれませんね。
しかし、その民兵隊の組織POUMですら、前線で戦う兵士たちと上層部の指導者たちとは思惑が違っていたようですが・・・。
そして、悲劇が・・・。
このデヴィッドの若かりし日々を、現代に生きるデヴィッドの孫娘を通して描く演出が良かったですね。デヴィッドのその後の波乱万丈な人生の最期が幸せであったことを物語っているようでした。
孫娘がデヴィッドに贈った詩の通り、デヴィッドの戦いは孫娘へと引き継がれ、その後も永遠と伝えられていくのでしょうね。
Title:
LAND AND FREEDOM
Country:
UK/Spain/Germany/Italy (1995)
Cast:
(David Carr)IAN HART
(Blanca)ROSANA PASTOR
(Maite)ICÍAR BOLLAÍN
(Lawrence)TOM GILROY
(Juan Vidal)MARC MARTÍNEZ
(Bernard Goujon)FRÉDÉRIC PIERROT
(Kim, David's granddaughter)SUZANNE MADDOCK
(Kitty)ANGELA CLARKE
Director:
KEN LOACH
Awards:
Cannes Film Festival 1995
(FIPRESCI Prize)KEN LOACH
(Prize of the Ecumenical Jury)KEN LOACH
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