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ストリート・キッズである2人の少年の成長と真実の愛を探すロードムービー。
鬼才ガス・ヴァン・サント監督の「ポートランド三部作」の1つです。
オレゴン州ポートランド。町の通りにたむろする少年たち。彼らは大人に身体を売る男娼・・・。その中の1人マイクは、発作的に深い眠りに襲われる病気「発作性睡眠(ナルコレプシー)」を患っていました。
彼が唯一、信頼できる仲間スコットは、市長の息子。大金持ちであるはずの家を飛び出した異色のストリート・キッズ。スコットはスコットなりに父親から認めてもらおうと必死でした。
そんなストリート・キッズを束ねる男ボブはスコットと以前深い関係にありました。ボブはスコットを手元に置いておくことで、いずれスコットが手に入れる富と名誉を横取りしようと画策しています。
しかし、スコットにとってはボブは既に過去の男・・・。スコットはマイクと共にボブのもとを離れ、マイクの兄リチャードがいるアイダホへと旅立ちます。
その道中、マイクはスコットに告白するのですが・・・。
マイク役にはリヴァー・フェニックス。繊細が故に危険なマイクを見事に演じ、全米批評家協会賞とヴェネチア国際映画祭の男優賞を受賞しています。マイクが患っているナルコレプシーという病は実際にあるようで、一般への認知度が低いことも問題になっているそうです。マイクのように、突然、倒れるように眠ってしまうのでしょうか。
そんなマイクを手厚く守るスコット役にキアヌ・リーヴス。この作品の3年後に「スピード」で一躍有名になります。彼、ぜんぜん変わりませんね。容姿も・・・そして演技も・・・(^_^;
リチャードの家に辿り着いたスコットとマイクでしたが、リチャードから衝撃の事実を告げられてしまいます。でもマイクは知っていたようですね・・・。
う~ん。衝撃の事実のわりには、サラッと次の展開へ流れてしまいましたね。おそらく、この事実がマイクをストリート・キッズにさせてしまった原因だと思うのですが、取って付けたような設定のようにも感じてしまいました。
そして、マイクは母シャロンを捜しに再びスコットと旅に出るのですが・・・。母を捜して、なんとローマまで飛んでしまう2人でしたが、そこでは、スコットとの別れが待っていました。
スコットにとっては、マイクとの旅はただのお遊び。ストリート・キッズからの卒業旅行のような感覚だったのでしょうか。ポートランドに帰ってからのスコットの言動は、ボブについては語られているものの、マイクへのことは何1つ語られていなかったことが残念でしたね。
そして、マイクは夢にだけ逢える母親を捜しにまた旅立ちます・・・。
何もない荒野に1本の長い道。
先が見えない果てしない道。
そんな道すら満足に歩くことすらできないマイクに未来があるのでしょうか。
眠るマイクを乗せた車は、どこへ向かうのでしょうか。
アイダホへ向かうこの道はマイクの人生の道そのもの・・・。
マイクは人によって進む道を阻まれ、助けられ、そして、ときに迷いながらも、ゆっくりと母親のもとへと辿り着くのでしょうね。
マイクと同じくらい波乱万丈な人生だったリヴァー・フェニックスが演じたからこそ、説得力のある作品でした。
あっ!あと、この作品は所謂ゲイ映画のジャンルにも入ると思うのですが、性的描写は少なめになっています。あっても、デッサンモデルのように「はい。そのまま動かないでぇ~。」って感じです。ハイ。
Title:
MY OWN PRIVATE IDAHO
Country:
USA (1991)
Cast:
(Mike Waters)RIVER PHOENIX
(Scott Favor)KEANU REEVES
(Richard Waters)JAMES RUSSO
(Bob Pigeon)WILLIAM RICHERT
(Gary)RODNEY HARVEY
(Carmella)CHIARA CASELLI
(Digger)MICHAEL PARKER
(Denise)JESSIE THOMAS
(Budd)FLEA
(Alena)GRACE ZABRISKIE
(Jack Favor)TOM TROUPE
(Hans)UDO KIER
Director:
GUS VAN SANT
Awards:
National Society of Film Critics Awards, USA 1992
(NSFC Award(Best Actor))RIVER PHOENIX
Venice Film Festival 1991
(Volpi Cup(Best Actor))RIVER PHOENIX
