そして、デブノーの森へ | ひでの徒然『映画』日記

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映画レビューを徒然なるままに書き綴ります。


そして、デブノーの森へ


監督:ロベルト・アンド

キャスト:

アナ・ムグラリス、ダニエル・オートゥイユ

グレタ・スカッキ、ミシェル・ロンズデール、マグダレナ・ミェルツァシュ、ジョルジョ・ルパーノ

製作:2004年、フランス/イタリア/スイス


人気作家セルジュ・ノヴァク。作品に関する討論会も開かれるほどの人気ぶりだが、素性を明かさない謎の作家としても注目されていた。


討論の様子を後ろから眺める1人の男「セルジュ・ノヴァク」ことダニエルがいることも知らずに・・・。


ダニエルは義理の息子ファブリツィオの結婚式に出席するためカリブ島へ向かう途中、1人の美しい女性と出会い、一夜と共にする。朝、目覚めるとその女性は既に去り、ダニエルはそのまま教会へと向かう。


遅れて到着したダニエルは最前列にいる妻ニコレッタの隣りに座り、花婿と花嫁を目を移し驚愕する。花嫁は昨日まで同じベッドで寝ていた女性ミラだった。


Comment:

情事に溺れる男と復讐する女の官能サスペンス。


ダニエルは平静を装い、ニコレッタ、ファブリツィオ、そして、ミラと接します。あの態度から察するに、ダニエルは今まで幾度となく浮気をしていたのでしょうね。しかし、今回はさすがに驚いたのでしょう。


ダニエルは一度だけの関係と割り切ります。ミラももちろん割り切っているのだろうとダニエルは思っていましたが、何とミラはその後も執拗にダニエルに迫ります。・・・いったい、どんな一夜を過ごしたのやら・・・(^_^;


しかし、ミラにはダニエルを誘惑する別の理由がありました。


ダニエルを落とし入れ、家族を崩壊に導くこと。


ということは、ミラはカリブ島への船に乗るダニエルを尾行して、わざとダニエルから見える席に座り、ダニエルから言い寄ってくるように仕向けたのでしょうか。そう考えると、何だか怖いですね。


計画通りに進むミラでしたが、思わぬ落とし穴が・・・ミラは本気でダニエルを愛してしまいます。しかし、復讐への計画はミラですら止めることはできませんでした。


ダニエルの妻ニコレッタが、ダニエルとミラとの関係に疑いを持ち始めます。おそらく、今までのニコレッタは、ダニエルの浮気は承知の上で、それでも自分のもとへ戻ってきてくれるという核心があったので許していたのではと思うのですが、さすがに今回の自分の息子の妻との浮気は許せなかったのでしょうね。


雨の中で対峙するダニエルとミラとニコレッタ。どんな修羅場になるのかと思いましたが、ニコレッタの妻としての悔しさと息子を愛する母親として想いが入り乱れた悲しいシーンでしたね。


なぜ、ミラがダニエルを落とし入れようとするのかは、次第に明らかになりますが、はたして本当にミラはダニエルを愛していたのか。そして、あの銃声は誰が撃ったものなのか。


ダニエル役にはダニエル・オートゥイユ。感情を昂ぶらせない寡黙な男。でも心の中では激しく動揺している男ダニエルを好演しています。この作品を観ていて、もし日本人でこの作品を製作するとしたら、ダニエル役は役所広司だろうなぁと考えてしまいました。ダニエル・オートゥイユと雰囲気が似ているような気がします。


ミラ役にはアナ・ムグラリス。美しい裸体を惜しげもなく披露しています。彼女あってのこの作品ですね。ミステリアスなミラにピッタリでした。ミラ役を演じられる日本人女優って言ったら・・・う~ん、誰だろう?


ダニエルだけが知っていた最後の秘密。その秘密を知ったミラは何を思ったのでしょう。ミラの計画に翻弄されていたダニエルでしたが、ミラも知らないうちにダニエルの計画通りに動いていたかのようでした。そして2人は、キーパーソンとなるポールによって人生を狂わされていたのでしょうね。


自分の未来が判っていたかのようなダニエルは、デブノーの森で偽りの人生からやっと開放されたのでしょう。官能的なシーンと共に切なさが残るサスペンスでした。



にひひにひひにひひ