ラストキング・オブ・スコットランド | ひでの徒然『映画』日記

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ラストキング・オブ・スコットランド


監督:ケヴィン・マクドナルド

キャスト:

フォレスト・ウィッテカー、ジェームズ・マカヴォイ

ケリー・ワシントン、ジリアン・アンダーソン、サイモン・マクバーニー

製作:2006年、アメリカ/イギリス


1971年、スコットランド。医学校を卒業した青年ニコラスは、親が敷いた人生のレールではなく、自分の思うままに生きようと決意する。まずは、場所選び。地球儀を廻して指差した国の名は「ウガンダ」・・・。


ウガンダのムガンボ村にある診療所に派遣医師として働くことになったニコラス。明らかに場違いなニコラスだが次第に環境に溶け込み、ともに働く女性サラとも関係が深まっていく。


ある日、ムガンボ村にウガンダの大統領アミンが演説にやって来るという。軍事クーデターによって政権を握ったアミン大統領に興味を持ったニコラスはサラを連れて聞きに出かけた。


「スコットランドの最後の王」と自称するアミン大統領との出会いによって、ニコラス自身の運命が狂わされるとも知らずに・・・。


Comment:

実在した人物、イディ・アミン大統領の姿を青年医師を通して描いた社会派サスペンス。


青年医師ニコラスは実在しないということですが、アミン大統領が実在したとは驚きでした。彼の在任中、30万人以上の国民が虐殺されたということです。しかも、表向きは愉快なトーク、説得力のある演説でカリスマ性を前面に打ち出し、国民から圧倒的な支持を得ている裏での行為ということが、さらに恐怖を物語っています。


虐殺した理由も、自分にとって反抗的な人間、不利な人間、利益のない人間・・・。もはや、ガキ大将がそのまま大人にでもなったかのような男による独裁政治でした。


私たちは、ニコラスを通じてアミンの人柄を知ります。はじめは気さくで大らかな人間。国民のための政治を実現することができる人間と勘違いしてしまいます。ニコラスはアミンの本当の姿も知らずにアミンの主治医として、さらには政治を動かすブレーンとして働くことになっていきます。


すべてがとんとん拍子で進むニコラスでしたが、英国の高等弁務官ストーンと出会い、しだいにアミンの本性に気付き始めます。しかし、時すでに遅く・・・。


ニコラスの運命は現実的ではないにしろ、ストーリーテラーとして、アミンの表の顔と裏の顔を知る上で欠かせない存在でした。


ニコラス役にはジェームズ・マカヴォイ。危険を顧みず、甘い汁を吸ったバチが当たった憐れな男を好演していました。決して正義のヒーローではないのですが、彼が主役のようにも思えました。


アミン大統領役にはフォレスト・ウィッテカー。この作品で、アカデミー賞主演男優賞を受賞しています。善と悪の二面性を持つ狂気の大統領を熱演しています。特に演説のシーンでは彼のカリスマ性が存分に表現され、裏の顔での無表情な面持ちは恐怖すら感じます。


多少の脚色があるにせよ、実在したアミン大統領の悪行の数々を描きながら、ニコラスのウガンダからの脱出劇というエンターテイメント性もあり、楽しめるように仕上がっています。


でも、終盤での病院のシーンやニコラスへの報復シーンなどでは、食事をしながら観るのは控えたほうがよさそうです。くれぐれもご注意を・・・。



第79回アカデミー賞 主演男優賞(フォレスト・ウィッテカー)

第64回ゴールデン・グローブ 男優賞(ドラマ)(フォレスト・ウィッテカー)

第32回LA批評家協会賞 男優賞(フォレスト・ウィッテカー)

第73回NY批評家協会賞 男優賞(フォレスト・ウィッテカー)



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