監督:エドワード・ズウィック
キャスト:
レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・コネリー、ジャイモン・フンスー
マイケル・シーン、アーノルド・ヴォスルー、カギソ・クイパーズ、デヴィッド・ヘアウッド
ベイジル・ウォレス 、ンタレ・ムワイン
製作:2006年、アメリカ
1990年後半。アフリカの地域紛争は収まることを知らず、その武器の資金源は象牙、ゴム、ゴールド、石油ではなく不法取引のダイヤモンドである「ブラッド・ダイヤモンド」によって調達していた。
1999年、シエラレオネ共和国。幸せな家族の父ソロモンと息子ディアが住むシェンゲ村に反政府軍RUFが突如襲撃。虐殺される村人たちの混乱の中、ソロモンは家族を助けるも捕らわれの身になり、不法なダイヤモンド採掘場で強制労働させられてしまう。そこで巨大なピンク・ダイヤモンドを見つけたソロモンは隠そうとするが、ポイズン大尉に見つかってしまう。絶体絶命のソロモンだったが、そのとき政府軍の急襲に合い、今度は犯罪に加担した者となって収容所に送られてしまう。
一方、元傭兵で今はブラッド・ダイヤモンドの密売人であるダニー・アーチャーは、RUFとの取引に成功するも、密輸中に政府に取り押さえられてしまう。
首都フリータウンの収容所で偶然出会った2人。ソロモンが巨大なピンク・ダイヤモンドを隠したと知ったダニーはソロモンに近づく。
さらに、女性ジャーナリストのマディーも「ブラッド・ダイヤモンド」の不法取引の証拠を掴むためダニーに近づいてきた。
「家族」、「利益」、「真実」。それぞれ異なる目的を持つ3人が同じピンク・ダイヤモンドを求めて危険な武装地帯へと旅立つ。
Comment:
地域紛争、ダイヤモンドの不正取引の実状を描いた社会派アクション作品。
オープニングからいきなり始まる目を覆いたくなるような虐殺シーン。わずか数年前のできごととは思えない惨状です。同じ人種同士での殺戮、そして洗脳された子供たち。すべては私たちが目にするダイヤモンドのための被害者だと思うと複雑な心境になります。
そんな中、家族を助けようとするソロモンの直向な勇気に救われた感じがしました。やっと再会した妻や娘たちともフェンス越しでしか触れることができない不条理。そして、洗脳されたディアに銃口を向けられた悲壮感。それでもソロモンは幸せだった家庭を取り戻すため決して諦めませんでした。
ソロモン役にはジャイモン・フンスー。ソロモンが辿る茨の道を迫真の演技で魅せています。銃口を向けるディアを涙ながらに諭すシーンは涙を誘います。
一方、ソロモンと行動を共にするダニーは私利私欲のためにブラッド・ダイヤモンドに挑みます。しかし、それは今の生活から、そしてアフリカから逃げ出したい一身からでした。南アフリカの白人として生まれ育ち、幼い頃に家族を亡くし、傭兵として生きることしかできず、唯一、金だけを信じ、誰も信じられなくなってしまったダニー。しかし、ソロモンの家族対する想い、そして、マディーのとの愛によってダニーの心にも変化が起き始めます。
その繊細な心理描写をレオナルド・ディカプリオが見事に演じています。また、彼のアクションも必見です。まさか、あんなにキレのあるアクションができるとは思っていませんでした。いつの間にあんな骨太な演技ができるようになったのでしょう。ダニーのラストシーンはレオナルド・ディカプリオだからこそ絵になっていましたね。
マディー役のジェニファー・コネリーも勝気な女性ジャーナリストを好演しています。マディーのようなジャーナリストがいるからこそ、何も知らない私たちにも悲惨な現状を知ることができるのですね。2007年9月にミャンマーで亡くなられた日本人ジャーナリストの長井健司さんを思い出しました。
家族を命がけで救う「勇気」。
新たな人生へ踏み出す「勇気」。
真実を追究する「勇気」。
ソロモン、ダニー、マディーの3人からそれぞれの「勇気」が伝わってきました。
アクション、家族愛、ラブストーリー、社会派ドラマ・・・すべてが凝縮された見応えタップリの作品です。
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