- 冬子の兵法 愛子の忍法 (文春文庫)/上坂 冬子
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「冬子の兵法 愛子の忍法」を読みました。
この本は、二人の物書き。
上坂冬子(かみさかふゆこ)さん
と佐藤愛子(さとうあいこ)さん
の対談をまとめた単行本です。
対談方法は、手紙でのやり取りで行われています。
正直、上坂冬子さんも佐藤愛子さんも知りませんでした。
だって、こんなに真面目な本なんて
手にとる気にならないので。
でも、旦那が読むなら私もといった感じで読みはじめました。
この本では、互いに思っていることや互いの出来事について
世間話のような感じで、対談が繰り広げられています。
昔ながらの知人で、
互いに評論家でもあるせいか
直球の言葉が二人を行き来してます。
心が通じあうと、こんなにも互いの気持ちや意見が言えるものなのかと
ドキドキしながら、読みました。
たまに、互いに「ばばぁー」とか「ざまー見ろ」
という暴言まで飛びかってました。
ただの知人ではなく、
お互いに信頼が生まれていたんでしょう。
(^ω^)
二人の頑固な会話は、
共感できないこともありますがおもしろいです。
そして、何よりも読んでいてスッキリします。
芯も通っているし、
強く胸に響いてきます。
途中から、愛嬌さえ感じます。
自分も70歳を迎える頃には、
自分の中に、大きな柱ができることを願います。
さて、話しの前半に、第二次世界大戦に日本の管轄にあった台湾のお話がでてきます。
この話しは、ウルっときました。
戦争を知らない世代なので、理解は正直出来ません。
戦争というと、せいぜい婆ちゃんから聞いた話や
「はだしのゲン」などのイメージです。
でも、客観的に話を読むと、
いろんな気持ちや考えが生まれてきます。
お二人は、第二次世界大戦の中の台湾をとりあげた作品を書かれているようで、
この戦時中の話で盛り上がっていました。
その中で、印象的だった話があります。
台湾が日本の領地だったころ、
志願して日本の軍に参加した台湾人の話です。
彼らは、戦争被害者にもかかわらず、
戦後に日本を避難する事がありませんでした。
それは、自分達も日本人なので、戦争に参加することを
当たり前に思っていたからだったそうです。
なんだか、ジーンときます。
(;_;)
また、台湾の「李登輝」前総統さんの
戦後の立ち振舞いの話しも為になるいい話しでした。
彼もまた、日本人の名をもつ台湾人でした。
戦後も日本に気を使い、
戦後問題を荒げることもしない謙虚な方です。
時には、日本が中国の機嫌とりでVISAを出さないという
酷い態度を取られたこともあったようです。
戦争責任の追及よりも、戦争がもたした影響に目を向け
前向きに、これからの事を考えていくこと方が大切だと思いました。
靖国問題。
いったい、いつまで続くのだろう。
この問題を取り上げた政治話もありました。
政治もお二人のように、
互いの意見を「強く」交わし
合えばいいし、合わなければ合わないで
無理して付き合わなくてもいいんじゃないかと
思ってしまいました。
私ってちょっと、甘い!?
政治家が見たら、呆れるかー。
最後に、話しの後半でお二人が、弱気な話しをしている場面があります。
上坂さんは、体調をくずされたり
佐藤さんは、老いのせいか、怒りが起こる前に、気が落ち着くようになったとか。
また、自分達の考えも時代と共に、正しくなくなることもあるだろう。
といったような話。
まだまだ、お二人には元気ていて欲しいと願わざるおえない気持ちでした。
時代とともに、最善なことが変わる。
当たり前のことでしょうね。
だからこそ、過去より、今や将来のことを考えて
行動することが大切なのでしょう。
なんちって。
最後に、上坂冬子さんは今年の春に亡くなられたそうです。
…。
長文にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
m(__)m