去年、ナポリに行った時のことを思い出した。

ナポリはイタリアの中でも、とりわけ貧しい街だった。

露骨な南北格差の問題で、金持ちの北の大都会がミラノなら、貧しい南はナポリは南の大都会だ。

ミラノはローマに戻る前に寄ったが、ミラノは洗練されてイタリアらしい大都会だった。

あそこで成功して、あの街でフェラーリを乗り回しているのが、イタリアのお金持ちっていうことだろう。

一方、ナポリはローマから出た次に寄ったが、まず中央駅を降りたらもう、寂れた下町だった。

あそこでは、成功してナンボというよりは、いくら失敗しても、人生のんびりいこうよ。

なぜならお金なくてもビールもワインも、サンドイッチもピザも安いし。

周りの人だって多くがそうなんだから、皆でワイワイ楽しくやろうよ。

失業率だって北が7%とかなら、南は20%。

ミラノでは街を歩いても周りがブランドものに身にまとってお金持って歩いているのなら、

ナポリでは街を歩くと汚いTシャツを身にまとって、仲間と毎日ビールとピザばっかり。

オレがナポリで民泊した家も、自称芸能人の家でも、実際にはロクな仕事なんてなく、

毎日、昼過ぎまで寝て、起きたら仲間を呼んで、仲間同士、家でギター弾いて歌を歌って一日が終わりという、モラトリアム以外何もない一日を送っていた。

ミラノでフェラーリを乗るのも、ナポリでギターを弾くのも、どっちも幸せな国民なのかもしれない。

今のオレは東京でナポリの彼らのような生活を余儀なくされている。

ただオレは一人でそういう生活を余儀なくされているけど。

彼らは仲間同士仲良く、盛り上がって一日過ごしているし、何といっても仕事にもお金にも捕らわれてないのが、東京と大きな違いだ。

本当に彼らはお金がなくっても何とかなるっていう感じ。

でもここは東京だ。

そういうわけにはいかない。

やはり仕事とお金は大切なもの。

それが嫌なら東京を去りなさいという話しになるから。

$オヤジパワー全開!!

ミラノと、

$オヤジパワー全開!!

ナポリだ。

東京のオレはやっぱり仕事とお金に捕らわれて当たり前。

厳しいが受け入れるのみ。

ちなみに今現在、東京含めた日本全体、中高年の失業率は、ナポリの倍である。