居酒屋さんや酒屋さんに行ってたくさんある日本酒の銘柄の中でも、「新政 ラピスラズリ」はおしゃれなワインボトルのようなデザインで普通とは違った輝きを放っています。

 

モダン系と言われる新政酒造の銘柄の中でも、伝統のある酵母を使いながらも現代の流行の最先端を行くおしゃれな「新政 ラピスラズリ」をご紹介します。


 

















モダン系日本酒を生み出し続ける新政酒造とは
新政酒造は実はすごい酒蔵なんです
おすすめの一本『瑠璃(ラピスラズリ)』
個性が光る将来が楽しみな蔵
さいごに
おまけ:モダン系の日本酒
モダン系日本酒を生み出し続ける新政酒造とは
新政酒造は1852年創業の秋田の県庁所在地秋田市にある酒蔵です。

 

新政(あらまさ)という名前は、明治政府の施策の大きな元となる『新政厚徳』から取ったのが由来とのこと。

初代卯兵衛が創業し、今は八代目の佐藤裕輔氏が代表をつとめています。

この八代目の佐藤氏は、明治大学商学部を中退し、東京大学文学部へ行き、卒業後には編集プロダクションなどの経験を経て、フリージャーナリストになりました。

 

その後、広島の酒類総合研究所などで研修をしたのち、2007年から新政酒造に入社、2009年には造り酒屋で一般的な杜氏制を廃止するなど常識にとらわれない行動力のある方です。

 

他にも民族楽器演奏者などいろいろな肩書きがある一風変わった経歴の持ち主。

もはや商学、文学、日本酒、民族楽器など頭の中がどうなっているのかわかりませんが、何にでも挑戦されるとても面白い魅力的な方だなと思いますし、だからこそ今の「新政」が生まれたんだろうなと思います。

業界では『風雲児』とか『革命児』などと言われています。

新政酒造
住所:秋田県秋田市大町六丁目2-35

新政酒造は実はすごい酒蔵なんです
そんな八代目が現在蔵元をつとめる新政酒造は『きょうかい6号』という酵母を発見した蔵としても有名です。

 

これは現在市販されている酵母では最古のものです。

日本酒の歴史から見ると、灘や伏見が有名ですが、この寒冷地で発見された6号酵母のおかげで、低温発酵が実現し、東北でも美味しい日本酒が作られるようになりました。

佐藤氏はこの6号酵母しか使わない、副原料となる醸造用アルコールやミネラル等を添加しない、というポリシーを持って酒造りに挑んでいます。

 

また、速醸を廃止した天然の乳酸菌を使用した生もと造りを行っていますが、不安定で時間がかかり失敗も多いのでかなりの技術を要します。

この山廃酒母をつくるまでに5年もかかったそうですが、それでも生もとと山廃づくりにこだわり、みんなができる生酛・山廃を研究して生まれた「新政式山廃」と呼ばれている独自の製法で日本酒を造っています。

 

更に、現代ではホウロウタンクが主流なのに対し、あえて木桶で仕込むことも。

ここまでこだわるのは米や水など素材の魅力を最大限に生かすため。

 

『香り競争にはいかない。古い酵母だからといってノスタルジックな酒を造るつもりもない。クラッシックな素材からモダンな味を作る。そのほうが面白い』と佐藤氏は言います。

おすすめの一本『瑠璃(ラピスラズリ)』
新政酒造新政ラピスラズリのボトルの画像
先祖から受け継いだ宝である『きょうかい6号酵母』は香りも味も特にインパクトがないという地味な個性をもっていますが、その酵母とこだわりの仕込みで醸された「瑠璃(ラピスラズリ)」(通称カラーシリーズ ブルーラベル)はかなりの個性派です。

 

ラピスラズリという青い石から名前をとったもので、漢字表記で瑠璃(るり)で、ラベルも瑠璃のような濃い青色をしています。

新政酒造新政ラピスラズリの表ラベルの画像
まずは飲む前に香りに驚くのですが、日本酒っぽくなくワインのような独特の香りで洋風な印象です。

 

そして味も同じく日本酒っぽくありません。ただし、ワインでもなく、淡麗で清々しい味わいが舌の上を走りぬけ、なんとも表現しがたい香りが鼻から抜けていくような感覚です。

他では味わったことのない感覚に一口、もう一口とグイグイすすみます。

 

純日本酒がお好きな方にとっては少し違うなと感じると思いますが、これぞ新政であり、独自の世界観の日本酒を存分に楽しめる銘柄です。

値段はけっしてお手ごろとは言えませんが、他の日本酒には出せないこの風味は一度ハマるとやめられません。

 

独特の風味なので、私は食前酒として少し冷やして楽しむのをおすすめします。

もちろん食中酒としても楽しめると思いますが、個性が強いので、酒本来の味と香りを感じたいのなら、クラッカーやグリッシーニがおすすめです。

 

ラベルもお洒落なので、パーティーやプレゼントとしてもおすすめです。