「香港でエンジニアを雇いたいけど、どうすれば優秀な人材を確保できるの?」

2017年から香港でAI・ブロックチェーン・量子コンピューティングの受託開発会社を経営し、これまで50名以上のエンジニアを採用してきた私が、香港でのエンジニア雇用の全てを実体験をもとに解説します。

香港でエンジニアを雇用するのは簡単ではありません。しかし、正しい知識と戦略があれば、優秀な人材を確保し、事業を大きく成長させることができます

 

株式会社NAM Asia Hong Kongの中野哲平です。法人番号は下記です。今は違う仕事をしております。

 

🌏 香港エンジニア市場の現実

📊 市場の基本データ

給与水準(2025年現在)

  • AIエンジニア:月収HKD 31,000-35,000(年収約480万〜540万円)
  • ブロックチェーン開発者:年収約1,600万円($104,050 USD)
  • Web3開発者:年収約1,300万円($87,000 USD)
  • 一般ITエンジニア:月収HKD 20,000-50,000(年収約360万〜900万円)

経験年数別相場

  • 3年程度:月収HKD 28,000〜(約476,000円〜)
  • 5年以上〜管理職:月収HKD 35,000〜70,000(約595,000〜1,190,000円)

🎯 香港エンジニア市場の特徴

1. 競争率が激しい

香港でもやはりエンジニアの需要は高いのですが、競争率が鬼高いです

なぜ競争が激しいのか

  • 優秀な人材の絶対数が少ない
  • 多国籍企業が集中:Google、Meta、Alibaba等が香港にオフィス
  • 中国本土からの需要:深センのテック企業が香港人材を求める
  • 高い給与水準:魅力的な報酬が人材の流動性を高める

2. 転職頻度が非常に高い

優秀なエンジニアが3ヶ月で転職するという体験をしました

香港の転職文化

  • 平均転職間隔:1-2年
  • キャリアアップ重視:給与・ポジション向上のための転職は当然
  • 忠誠心:日本的な「会社への忠誠」概念は薄い
  • 即戦力重視:入社後すぐに結果を求められる

3. 技術分野別の需要傾向

最も需要が高い分野

  1. ゲーム開発:香港の富裕層がゲーム会社を設立する傾向
  2. 金融AI:株価予想・分析系のAIエンジニア
  3. フィンテック:決済・ブロックチェーン・デジタル銀行

需要が限定的な分野

  • Web/アプリ開発:中国(深セン)への外注が主流
  • IoT:物理スペースが必要で香港では不利

💼 雇用の法的枠組み - 知らないと危険

📜 香港雇用条例の基本

香港の労働法制は「雇用条例」(香港法例第57章)で規定されており、日本と比較して企業に有利な設計になっています。

雇用条例の適用対象

適用される労働者

  • 香港内で働く全ての労働者(国籍問わず)
  • 勤務時間に関係なく基本保障を受ける

適用除外

  • 雇用主の家族・同居人
  • 香港以外で就業する者
  • 船員・実習生

💰 給与・労働条件の法定要件

必須の雇用条件

1. 給与支払い

  • 支払期限:締切日から7日以内
  • ダブルペイ:旧正月前に給与1ヶ月分のボーナス(13ヶ月目給与)
  • 年末手当:慣例として支給

2. 年金制度(MPF)

  • 会社負担:給与の5%
  • 本人負担:給与の5%
  • 強制加入:全従業員が対象

3. 有給休暇

  • 日数:勤務期間に応じて7〜14日
  • 取得権利:法定権利として保護

4. 試用期間

  • 法定期間:特に規定なし
  • 慣習:3ヶ月が一般的
  • 給与:試用期間中80%の企業も存在

⚠️ 解雇に関する重要ポイント

解雇の要件

  • 正当事由が必要
  • 認められる理由:問題行動、能力不足、人員調整、運営上の必要性

日本との違い

  • 解雇は比較的容易:日本より企業に有利
  • 事前通知:1ヶ月前の通知で解雇可能
  • 退職金:別途合意がない限り不要

🎯 効果的な採用戦略

🔍 採用チャネルの使い分け

1. 日系人材紹介会社(推奨度:⭐⭐⭐⭐⭐

メリット

  • 日本語でのコミュニケーション
  • 日本企業のニーズ理解
  • アフターフォロー充実

主要会社

  • RGF(リクルート):幅広い案件
  • JAC Recruitment:高額案件・外資系強い
  • パソナ香港:歴史が長く、条件良い案件多数

コスト

  • 年収の20-30%の手数料

2. 現地人材紹介会社(推奨度:⭐⭐⭐⭐

メリット

  • ローカル人材に強い
  • 手数料が安い(日系の1/3程度)
  • 現地市場の情報豊富

注意点

  • 言語の壁
  • 日本企業文化の理解不足

3. 直接採用(推奨度:⭐⭐⭐

効果的なプラットフォーム

  • LinkedIn:プロフェッショナル層
  • JobsDB:香港最大の求人サイト
  • Indeed香港:幅広い層

コスト

  • 採用コストは低い
  • 時間コストは高い

4. リファラル採用(推奨度:⭐⭐⭐⭐⭐

なぜ効果的か

  • 既存社員の推薦で質の高い候補者
  • カルチャーフィット確認済み
  • 定着率が高い

インセンティブ設計例

  • 紹介で入社:HKD 5,000
  • 6ヶ月継続:追加HKD 5,000

📝 香港式履歴書(Resume/CV)のポイント

日本との大きな違い

  • フォーマット自由:決まった様式なし
  • 写真不要:むしろ差別につながる可能性
  • 簡潔性重視:A4で1-2枚
  • 成果重視:具体的な数字・結果を記載

見るべきポイント

  • 技術スタック:最新技術への対応
  • プロジェクト経験:規模・役割・成果
  • 転職理由:キャリアアップか逃避か
  • 英語力:ビジネスレベル必須

🎤 面接プロセスの最適化

📅 香港式面接の特徴

日本との違い

  • 対等な関係:会社と面接者は対等
  • 双方向の質問:候補者からの積極的な質問歓迎
  • 迅速な判断:翌日〜2週間以内に結果
  • 給与交渉:面接時に具体的な金額討議

💡 効果的な面接戦略

1. 技術面接のベストプラクティス

準備すべきもの

  • 実際のコード課題:持ち帰り形式推奨
  • アーキテクチャ議論:システム設計能力確認
  • 過去プロジェクト詳細:技術選択の理由を深掘り

避けるべきこと

  • ホワイトボードコーディング(プレッシャー過多)
  • 暗記問題(Googleで調べられるものは無意味)

2. 文化的適応性の確認

重要な質問例

  • 「最後の転職理由は?」
  • 「5年後のキャリアプランは?」
  • 「チームワークでの経験は?」
  • 「フィードバックへの対応は?」

日本人面接官が陥りがちな罠

  • 日本的な「協調性」を過度に重視
  • 転職歴の多さをネガティブに捉える
  • 英語力不足による誤解

🎯 私の面接成功事例

Case 1: シニアAIエンジニア採用

課題:GPUクラスター管理経験者が必要

アプローチ

  1. 技術課題:実際のGPU最適化問題を出題
  2. 経験共有:過去のMLOpsプロジェクト詳細討議
  3. 成長機会提示:香港初の量子ML研究参加機会

結果:3年間継続勤務、現在CTO

Case 2: ブロックチェーンエンジニア採用

課題:DeFiプロトコル開発経験者が必要

失敗例

  • 給与交渉で妥協→3ヶ月で転職
  • カルチャーフィット軽視→チーム不和

成功例

  • 明確な技術ロードマップ提示
  • 株式オプション提供
  • リモートワーク柔軟性

結果:2年継続、主要プロダクト開発リード

💰 給与設定とパッケージ設計

📊 競争力のある給与設定

エンジニアレベル別給与設計

ジュニア(1-3年経験)

  • 基本給:HKD 25,000-35,000/月
  • ボーナス:年2-3ヶ月分
  • 総年収:HKD 350,000-500,000

ミドル(3-7年経験)

  • 基本給:HKD 35,000-55,000/月
  • ボーナス:年3-4ヶ月分
  • 総年収:HKD 500,000-800,000

シニア(7年以上・リード)

  • 基本給:HKD 55,000-80,000/月
  • ボーナス:年4-6ヶ月分
  • 総年収:HKD 800,000-1,200,000

🎁 競争力を高める福利厚生

香港で魅力的な福利厚生

1. 健康保険の充実

  • プライベート医療保険:公立病院の待ち時間回避
  • 歯科保険:年間HKD 10,000-20,000
  • 家族保険:配偶者・子供まで拡張

2. 住宅関連支援

  • 住宅手当:給与の10-20%
  • 引越し費用支援:初回HKD 20,000-50,000

3. 教育・成長支援

  • 研修予算:年間HKD 10,000-30,000
  • カンファレンス参加:海外イベント含む
  • 資格取得支援:AWS、Google Cloud等

4. ワークライフバランス

  • フレックスタイム:コアタイム10:00-16:00
  • リモートワーク:週2-3日
  • 追加有給:法定以上の付与

💡 私の成功事例:非金銭的インセンティブ

技術成長機会

  • 最新技術(GPT-4、Claude)の業務利用
  • オープンソース貢献の奨励
  • 学会発表・論文執筆支援

キャリア発展

  • 明確な昇進パス提示
  • 他国オフィスでの経験機会
  • スタートアップ投資への参加

🚨 よくある失敗とその対策

失敗事例1:給与ケチって人材流出

何が起きたか 市場相場より10%低い給与で採用→3ヶ月で転職

教訓

  • 香港では給与は投資、ケチるべきでない
  • 市場相場の110-120%を目安に設定
  • 年次昇給も明確に約束

失敗事例2:日本的管理でモチベーション低下

何が起きたか

  • 日本的な「報連相」を強制
  • 細かいプロセス管理
  • 失敗を責める文化

結果

  • エンジニアのクリエイティビティ低下
  • 離職率上昇
  • イノベーション停滞

対策

  • 結果重視:プロセスより成果を評価
  • 自律性尊重:マイクロマネジメント避ける
  • 失敗許容:学習機会として捉える

失敗事例3:英語力過信による誤解

何が起きたか

  • 技術的議論で言語の壁
  • 曖昧な指示による認識ズレ
  • 文化的背景の理解不足

対策

  • 重要事項は文書化
  • 定期的な1on1実施
  • 文化橋渡し役の配置

🎯 長期定着のための戦略

🏢 エンジニアが求める会社文化

1. 技術ファーストな環境

具体的な施策

  • 最新機材の提供:MacBook Pro、外部モニター
  • 技術的負債の解消時間:月20%のリファクタリング時間
  • 技術選択の自由度:エンジニア主導の技術スタック選択

2. 成長機会の提供

キャリアパス例

ジュニアエンジニア → シニアエンジニア → テックリード → エンジニアリングマネージャー

                    ↘ シニアエンジニア → アーキテクト → CTO

成長支援

  • メンタリングプログラム
  • 社内勉強会:週1回開催
  • 外部コミュニティ参加奨励

3. 透明性のある評価制度

評価軸

  • 技術力:40%
  • プロジェクト貢献:30%
  • チームワーク:20%
  • イノベーション:10%

フィードバック頻度

  • 月次1on1:30分
  • 四半期レビュー:90分
  • 年次評価:360度フィードバック

🔄 私の定着率改善施策

Before(定着率60%)

  • 給与のみで勝負
  • 日本的な管理手法
  • 技術への投資不足

After(定着率85%)

  • 技術環境の大幅改善
  • 明確なキャリアパス提示
  • 個人の成長を支援する文化
  • 失敗を学習機会とする雰囲気

🌟 香港エンジニア雇用の成功法則

🏆 Top 10 成功ポイント

  1. 市場相場の120%で攻めろ:ケチると必ず失敗
  2. 技術環境に妥協するな:最新機材・ツールは必須
  3. カルチャーフィットを重視せよ:スキルは教えられるが、マインドセットは変えられない
  4. 成長機会を明確に示せ:エンジニアは成長を最も重視
  5. 失敗を許容する文化を作れ:イノベーションには失敗が不可欠
  6. リモートワークを認めろ:柔軟性は競争力
  7. オープンソース貢献を奨励せよ:エンジニアのモチベーション向上
  8. 定期的なフィードバックを実施せよ:透明性が信頼を生む
  9. 技術的負債と向き合え:リファクタリング時間を確保
  10. 国際的な視野を持たせろ:グローバルプロジェクトへの参加機会

📈 ROI最大化のためのKPI設定

採用効率のKPI

  • 採用単価:HKD 50,000以下
  • 採用期間:60日以内
  • オファー承諾率:70%以上

定着・生産性のKPI

  • 12ヶ月定着率:80%以上
  • エンジニア満足度:4.0/5.0以上
  • 1人当たり売上:年間HKD 1,000,000以上

🚀 まとめ:香港でエンジニア雇用を成功させるために

香港でのエンジニア雇用は確かに challenging ですが、正しいアプローチで臨めば、世界レベルの優秀な人材を確保できます

成功の鍵

  1. 市場を理解する:給与相場、転職文化、技術トレンド
  2. 投資を惜しまない:人材は最重要資産
  3. 文化を尊重する:香港のビジネス文化を理解
  4. 成長機会を提供する:エンジニアの最大のモチベーション
  5. 長期視点を持つ:短期的なコスト削減より長期的なROI

私からの最後のアドバイス

香港でエンジニアを雇用するなら、日本的な「安定重視」の発想は捨ててください。

香港のエンジニアは:

  • 高い報酬を求める
  • 技術的挑戦を重視する
  • キャリアアップに貪欲
  • 結果にコミットする

この特性を理解し、それに合わせた雇用戦略を構築すれば、必ず成功します。

私の会社も、これらの原則に従うことで、優秀なエンジニアチームを構築し、8年間で売上を50倍に成長させることができました。

香港でのエンジニア雇用について、さらに詳しい相談や具体的なアドバイスが必要な方は、いつでもお気軽にご連絡ください!

 

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