高校2年生の夏だったと思う。
学校の引率で尾瀬旅行をしたことがある。
初日の燧ヶ岳登山は、快晴の中素晴らしいものだった。
その夜は、大田原女子高生らとワクワクのキャンプファイアー。
が、次の日は、いかにも尾瀬らしい、朝からの土砂降り。
サッカーの授業は、雷ガラゴロの中ずぶ濡れになっても続けるのが当然だった。
その朝も、私たちは至仏山目指して歩みを進めた。
が、高木が消えるあたりで、引率の先生が決断を下した。
登山断念である。
落雷を避けられない草地登山は危険だとしたのだ。
小学生の時に、目の前で落雷による生木発火を見ていた私には、極めて不満の残る決断だった。
が、今思うと、あの先生は偉かったなと思う。
私たちの意見を無視し、断念を決断した。
今回の事故を耳にして、コマクサを初めて見た感動、シブツウスユキソウを見られなかった悔しさが、当時の気持ちとともに甦ってきた。