福島妄想透視小説****5**パンダ脳のお邪魔虫 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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パンダというのは、体が白黒で知られているが、頭もツートンカラー、つまりは0*1思考に近い。
ひとつのことしか考えられないのである。
パンダなら笑い話だが、これが人間、ましてや指令官が相手となると話が変わる。

小田野は福島パフォーマンス行脚を止めることは、半ば諦めていた。
しかし、迷惑な話だなと思い、現場の苦労が目に浮かんだ。 


深夜になって、福島では蜂の巣を突いたようになった。
ボケとはいえ、一国の首相である。

警備を整えなければならない。
いや、それより問題は、緊急を要するベント作業は一時期中止せねばならない。

現場の混乱を招き、作業員らの睡眠を奪ったパフォーマンス行脚が実行されつつあった。

太宰は後に、ベントは俺が帰ってからだとか言っていたが、それこそパンダ脳を顕著に表していた。

形だけでも首相滞在中には、ベント作業をするわけにはいかなかった。
ベント作業に伴う、放射性物質の飛散を恐れたからである。

が、時の首相は、そんなことさえ気づかずに、例の病を発症している。

夕日新聞にさえ載ったが、まずは現場輸送がバスだったことに噛みついた。

荒太宰に慣れている福岡はさておき、現場にいた官僚や東電社員は皆驚いた。

緊急事態に、リムジンでも用意せよとでも言いたいのだろうか?



さらに、福岡でさえ怒りが沸騰したのが、現場に着いてからの行動だった。