【おとぎ話と倭健命】観測史上世界一の積雪;伊吹山(滋賀県) | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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今朝あるブロガーさんが、讃岐には降らなかったが大阪では降雪があったとの記事を書かれていた。

で、近畿といえば、ギネスにも載っている、観測史上世界一の積雪量は、滋賀県の伊吹山でしたねとコメント。

多くの方は誤解しているが、降雪が一番多かったのは、越後や庄内、八甲田山などではなく、滋賀県の伊吹山である。

昭和初期、短い寒冷期に降って積もった12メートル近い記録がある。

実際は志賀更級、中越や越後の山麓のが多いかも知れないが、記録上では伊吹山となっている。


北陸など本州日本海側の北部では世界的に豪雪地帯ではあるが、伊吹山がそれにも増した豪雪になるのは理由がある。

対馬海流で蒸気をたっぷりすった空気が、山にあたり雪を降らせることなく琵琶湖を越え、ここでさらに湿気を蓄えて伊吹山にあたる。

ここで大半の水分を雪として降らせる。
すり抜けたわずかな雪が、愛知などにも雪を降らせるのだろう。




伊吹山といえば、おとぎ話マニアの私などは倭健を思い出す。


伊吹山を軽くみた倭健が、伊吹山の神に負けてしまい、白鳥となって鳥取あたりまで魂が飛んで行った話だ。


日本神話には英雄談が少ないが、倭健の話は唯一英雄談と言っていいだろう。

実在の大王と考えられている応神天皇(ホムタワケ)の祖父にあたることになっている。

出雲健や川上健との逸話も面白いが、後に東征した倭健とは別人物かも知れない。


倭健の性格は、同じ編纂者の書でありながら、古事記と日本書紀では全く異なる。

古事記が人間味豊富で、叔母さんに泣きついたりしているのに比べ、日本書紀では天皇に忠誠を誓う従順な一兵士となっていて、中央集権国家の産声が聞こえきそうである。


倭健東征ルートを追うと、当時の海岸線が鮮やかに甦る。
船橋(船を繋いで橋とした)、水海道(海の中の細い道)、岩瀬(岩の多い浅瀬)など、いまでも残る地名もある。

焼津や吾妻、嬬恋のように、倭健伝説からとったような名前も目につく。




伊吹山は、役小角、織田信長とも縁の深い山だ。
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Wikipediaより