【捏造小説】てもでもの南無陀 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

しま爺の平成夜話+野草生活日記

世間を少しばかり斜めから見てしまうしま爺さんの短編小説や随筆集などなど
★写真をクリックすると、解像度アップした画像になります。

彼は、ゴリョの流れを組む男だった。

ゴリョ王族は、全員首だけ出した桶に入れられ海に流されたはずだった。


が、たまたま水が入って来ない桶があり、その桶は半島の南西にある海岸に打ち上げられた。

男はマレビトとして、試し腹専用要員になり、なんとか生計を立てていた。

この試し腹の子孫が、かの王によって殺されてしまう皇太子である。


かの王は、小西や加藤が近づいてきたら、さっさと城を抜け出し、庶民には民を捨てた王として悪名が高かった。

その長男は乱暴者で、あまりに民の命を軽んずるため、皇太子には立てられなかった。

皇太子は、例の南西馬韓の試し腹男の子孫だ。
村役人によって徴発された、殯候補のひとりであり、その殯候補が産んだ子である。

男は、利発で品格もあった。
が、決定的な問題がある。
裏では、コムゲさえ差別せずに付き合っているらしい。
王は証拠隠滅のため、すべてのコムゲ殺戮を命じたが、皇太子は従わぬばかりか、王を欺いて、コムゲが定住できる村を作ろうとした。

ここまで来ると、いくら皇太子でも庇いきれない。

桶に入れて、首をはねるしかなかった。




皇太子に差別なき世界を期待していたコムゲらは、悲しみ怒った。

だから、小西や加藤、伊予大三島に従う半島人は、弁韓だけでなく馬韓にも多数生まれるようになったのだった。



このコムゲの恨みは、代々伝えられて今に至る。


平等社会は、どうしてもやって来ない。




良い生活をするには、あれらの本貫でなくてはいけない。
が、これは生まれてからでは直しようがない。


せめて、良い大学に。
とは言っても、見えない足切りや下駄がある。


分かっていても、口には出せなかった。

ピーナッツリターンなど、表に出ない小さいことは昔はよくあった。

が、今回は言えるチャンスである。

海運も電子も自動車のリストラも、身内は全く傷が付かない。


結局切り捨ては、元コムゲなどあれらの本貫になれない一部庶民だ。


弾劾を叫んで、弾劾決定しても、彼らは癒されない。

また、同じことが繰り返されるだけだからだ。


しかし、いつもの鬱憤をはらせるのは今だけだ。



阿波おどりじゃないけど、踊る阿呆に見る阿呆である。



てもでもの南無陀。