夕暮れ時だった。西のそらか虹色に光、そいつが天から降っきた。


信頼できる陰陽師によれば、最新ナビにアップしなかったため、天の川から落ちたということらしい。

中はもぬけの殻である。

ただし、舟から数匹の赤いネズミが這い出たことは、多くの村人に見られている。

村に不思議なことが起こったのは、その時からである。
まず、葉っぱに花が咲いた。

なんじゃこりゃ?と言っているうちに、実がなった。

それだけじゃあない。
枝から直接、花びらのない花が咲く。

蓮の花は逆さまに咲く。

あの花を蓮呆と呼ぶようになったのは、その時からじゃなあ。
藤の花は翡翠色になった。

だがな、ええこどもあった。
大豆の実がとんでもなく膨らんで、大豊作となったらしい。
まあ、今なら遺伝子組み換え大豆あるから当たり前じゃがな。

これは平右衛門さんちの戸棚から見つかったので、いまでは『門さん戸大豆』ちゅう呼ばれとる。
でな、あの舟の落ちたあたりは、ネズミは来るな、来たらあかんどということで『ネズミきたらんど』ちゅう言われたゆうことや。