【小説】本しめじ御膳 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

しま爺の平成夜話+野草生活日記

世間を少しばかり斜めから見てしまうしま爺さんの短編小説や随筆集などなど
★写真をクリックすると、解像度アップした画像になります。

ひいひい言いながら、なんとか麓にたどり着いた。


峠の茶店でコーヒーを飲んだだけで、まだ昼飯さえ食べていなかった。
バス停前には立派な外装の料理屋がある。
高くて不味そうな予感はしたが、腹が減っては戦ができぬ。

次のバスが最終となるが4時半までにまだ2時間はある。


仕方なし、店に入った。

一番安い本しめじ御膳を頼んだ。

今の相場は分からないが、さすがに田舎だ。

本しめじなど、何十年も見ていない。

少し期待して待った。









が、やって来た御膳には、あの香ばしい匂いはなかった。

だいたい、形も色も違って見える。

気のせいだろうと、汁を一口吸う。


あらん?
やっぱり変だ。

汁の中のキノコをつまんで口の中へ。


ぎゃ、ぎゃ、ぎゃ。

ブナシメジじゃないのこれ。

しかも、工場で作ったやつだよ。




悪い予感以下の内容だった。
DCIM0005.jpg