峠の茶店でコーヒーを飲んだだけで、まだ昼飯さえ食べていなかった。
バス停前には立派な外装の料理屋がある。
高くて不味そうな予感はしたが、腹が減っては戦ができぬ。
次のバスが最終となるが4時半までにまだ2時間はある。
仕方なし、店に入った。
一番安い本しめじ御膳を頼んだ。
今の相場は分からないが、さすがに田舎だ。
本しめじなど、何十年も見ていない。
少し期待して待った。
が、やって来た御膳には、あの香ばしい匂いはなかった。
だいたい、形も色も違って見える。
気のせいだろうと、汁を一口吸う。
あらん?
やっぱり変だ。
汁の中のキノコをつまんで口の中へ。
ぎゃ、ぎゃ、ぎゃ。
ブナシメジじゃないのこれ。
しかも、工場で作ったやつだよ。
悪い予感以下の内容だった。
