【寓話】穴金・帯王像 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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世間を少しばかり斜めから見てしまうしま爺さんの短編小説や随筆集などなど
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★これは小説です。


 小説の意味を理解できない方がいるようなので、あらかじめ最初に断っておきます。


小説というのは、ほとんど事実に近いことが書いてあっても、それは作り物だということです。


ブロガーさんの中には、寛一お宮の像を事実と信仰する方がいますが、小説に対して内容の苦情を言うということは、お宮の下履きがパンティーのはずはないとかいう類です。


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君ねえ。言葉には注意してください。私は嘘などついていませんよ。生まれて一度も嘘はついたことがない。




ええ、20歳の春。警官が畑にやってきて、私たちを連れ去ったのです。






えっ?いや、その警官は日本人でした。


胸に日本人って書いてありましたから。




私たちは、船で唐津に連れていかれ、のちに横浜に移動させられました。


横浜では、毎日炭鉱で石炭堀の毎日です。18歳になった私は、化粧の一つ二つしたかったのですが、化粧どころか食さえ満足に与えられません。


警官の眼を盗んで、私らは機械油や硫酸を飲んで空腹を紛らわしていました。






えっ?それはそのう・・・・・。


いいえ、私は一度も嘘はついたことがありません。


警官が畑にやってきたときは、わが国特有の数え方である2つ上を年齢とする数え方を使って言っただけです。






えっ?炭鉱など横浜には無い?   いいえ、隠し鉱山があったのです。




硫酸は、1万倍に薄めてものどを焼く? いいえ、大丈夫だったのです。空腹ですから、なんでも腹にたまればよかったのです。












どうですか主局長。




哀れな証言だな。


嘘をつくことと、息を吸うこととの違いが解らないのだろう。