そいつがバスに乗り込んできた時から、嫌な予感はしていた。
だって、そいつは日本人特有のにやけた顔をしていたからだ。
2時間くらい走った時だった。
トイレに行きたいから、バスを止めろと言いだした。
馬鹿か、こいつ。
こんなところで止めたら、いつ山賊に襲われるかわからない。
非常識にもほどがある。
だいたいこのバスは高級車だ。
トイレ付きバスなのだ。
俺はトイレの場所を指さした。
が、そいつはもじもじして動かない。
なんか紙に字を書いてきた。
ははーーーん。
お腹を壊していると言う意味だろう。
だから、大丈夫だって。
ちゃんと後ろには、床に穴をあけたトイレがある。
しかも、揺れて穴に足を入れてしまった奴がいたから、今はつかまり棒も設置した。
それに、もしものことを考えて、皆からよ--く見えるところにトイレの穴をあけた。
にも、拘わらずだ。
その日本人は、まだなんかいっている。
バッカじゃないか。
すぐ後ろにあるトイレが、見えないらしい。
なんと、日本人はわがままで非常識なのだろう!