1991年。
あのアメリカ合衆国の軍隊が、尻尾を巻いて逃げだした。
相手はロシアでも、火星人でもない。
また、平和憲法を守る会でもなければ、慰安婦像を各州に建設する会でも、関西のおばちゃんでもない。
フィリピン・ピナツゥボ山である。
この噴火で、アメリカ軍はフィリピンから全面撤退せざるを得なくなったのだ。
1991年の噴火は、20世紀最大であるといわれ、その火山灰からできた雲は12万平方km以上に及んだ。日本国土の1/3が火山灰からできた雲に覆われたといってよい。
雲といっても、薄曇りなどではない。ルソン島などは、ほとんど漆黒の闇である。
降灰は、マレーシアからベトナム、さらにはカンボジアまで達している。
この噴火は、前回記したクラカタウ以来最大の噴火で、元の山の幅2.5km、高さ259mが吹き飛ばされた。
その噴出量は10立法km(東京ドーム800個分)。
北半球の平均気温を0.6度、地球全体の平均気温を0.4度下げたといわれている。
ただ、事前に噴火予測をしていたので、山の近くの住人は皆逃げていた。
が、数百名の犠牲者を出している。
これは降灰があまりにも多く、その灰の重みで家がつぶれて圧死した場合が多いようである。
伝説では、ピナツゥボの噴火はあったようだが、実際に噴火したのは400年ぶりらしい。
地球にとっては、瞬きする程度の間隔・感覚だろう。
追記
6世紀のクラカタウ噴火は、大陸や半島から日本への移動、つまり渡来人を増加させた。
また、19世紀末のクラカタウ噴火は、日韓併合前にあった朝鮮を保護国とする遠因となった。
このピナツゥボの噴火は、いわゆるじゃぱゆきさんの急増と関係するかもしれない。
★データ
ピナツゥボ山 標高 1,486m(噴火前 1,745m)
フィリピン・ルソン島
最近の噴火 1,991年(20世紀最大)