吉田調書の中で、感情などが見える部分を抜きだしています。
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(質問者)
それは、最初の1号機の海水注入ですね。
(吉田所長)
勿論、一番クリティカルでしたからね。
(質問者)
その際に、何か反対意見とか、そういうものというのは。
(吉田所長)
なかったですよ。
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一番近くにいたうちの保全担当が腕を折って帰ってきたんですね。
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電源車といっても時間がかかりますので、まず、それが来れば修理することも考え増したけれども、まずは、最初に海水注入の方が優先的だと。
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注水した直後ですかね、官邸にいる武黒から私のところに電話がありまして、その電話で、要するに官邸では海水注入は、5月二十何日にプレスした内容とちょっと違うかもわかりませんけれども、私が電話で聞いた内容だけをはっきり言いますと、官邸では、まだ海水注入は了解していないと。だから海水注入は停止しろという指示でした。
中止命令はするけれども、絶対に中止してはだめだという指示をして、それで本店には中止したという報告をしたということです。
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(筆者注;官邸にいる武黒氏から)
四の五の言わず止めろと言われました。何だこれはと思って……。
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(質問者)
そうすると、そこでいろんな思惑があったり、それから判断があったりして、止めろだの、やめろだの、待ってろだの、何かそんなことを言うと、それは雑音だと聞こえる。
(吉田所長)
考えます。
ですから、問い合わせが多いんです。今、どんな状況だと、だからサポートではないんですよ。報告のために何か聞くんで、途中で頭にきて、うるさい、黙っていろと、何回も言った覚えがありますけれども。
(質問者)
先ほどの官邸からの指示という話で、根拠については説明なかったんですか。
(吉田所長)
だから、先ほどの電話で、根拠については説明なかったんです。
まず、官邸がまだ海水注入を了解していないという話があったので、私は入れているし、もう入ったんだから、このまま注入を継続しますよと言ったら、四の五の言わずに止めろと、そのときの電話だけはいまだに覚えていますけれども、それでやっていられないなと、私からすると、そうなったわけです。
だから、論理根拠も何もないですから。
(質問者)
一番大きな雑音だったわけだ。
(吉田所長)
そうです。
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遅いだ、何だかんだ、外の人は言うんですけれども、では、おまえがやってみろと私は言いたいんですけれども、本当に、その話は興奮しますよ。
3プラントも目の前で暴れているやつを、人も少ない中でやっていて、それを遅いなんて言ったやつは、私は許しませんよ。
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逆に被害妄想になっているんですよ。
結果としてだれも助けに来なかったではないかということなんです。
済みません、自分の感情を言っておきますけれども、本店にしても、どこにしても、これだけの人間でこれだけのあれをしているにもかかわらず、実質的な、効果的なレスキューが何もないという、ものすごい恨みつらみが残っていますから。
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口幅ったいようですけれども、私は、ここの発電員、保修員は優秀だと思います。
部下たちは、少なくともそういう意味では、日本で有数の手が動く技術屋だったと思います。
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本当に感動したのは、みんな現場に行こうとするわけです。
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(質問者)
一番大事なことが書いてない。
(吉田所長)
そうなんですよ。
ばかじゃないか、こんな時系列を世の中の人に示しているなどというのは。
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現場もわからないのに、よく言うな、こいつは思いながらいました。
今、言っていられるのはすごく大事で、圧力下げるなり、温度下げるなり、何かやろうと思っても、何もできない状態ではないですか。
それなのに下げろと言うんだったら、おまえ、やってみろと言うしか。
あたかも現場がちゅうちょしたようなことを言うやつは全員、後で何か仕返ししてやろうと思っています。
本当に。
仕返ししてください、代わりに。
よろしくお願いしますよ。
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(質問者)
総理たちは、まず、何をしに来られていたんですか。
(吉田所長)
知りませんけれども、叱咤激励に来られたのか何か知りませんが、要は社長、会長以下、取締役が全員うちそろっているところが映っていましたね。
おもむろにそこに、ちょっと遅れて、5時過ぎか、忘れましたけれども、来られて、何か知らないですけれども、えらい怒ってらしたていうことです。
要するに、おまえら何をしているんだということ、ほとんど何をしゃべったかわからないですけれども、気分が悪かったことだけ覚えていますから、そういうモードでしゃべっていらしたんでしょう。