【推理小説】ある日の讃岐うどん祭り | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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いつも通りやればよい。
私はまず自民党の票を隠した。
そう、内ポケットに入れてトイレの掃除道具小屋に入れたのだった。

トイレから戻ると、委員長とあいつが何やらもめている。


331票合いません?!

チッ。若造は融通がきかなくてこまる。
あいつは特にしつこい。
何人かが、床に這ったり、投票箱を覗き返している。

まずい。大事にならぬうちに戻さねば。
私は落ち着いた足取りで、トイレに向かう。しかし心臓がパクパクいう音を立てるのが分かった。

あいにくトイレには、人がいた。 膀胱でも悪いのだろうか。
なかなか、用がすまない。 やっと終わったかと思ったら、また別のやつがきた。
私は具合でも悪そうに大の方に入る。

バタンと音がした。先ほどの男が出ていったようだ。
私はゆっくりと大のドアを開ける。
誰もいない。
出口に行き、廊下を見回す。
よし、誰もいない。

私は、掃除道具小屋を開け、厚い3束と薄い1束を胸ポケットに入れ、会場に戻った。

すぐに会場のカーテン下に隠す。
たぶん、誰かが見つけるはずだ。なぜそこにあるかなどどうでもよい。とにかく差がなくなれば、めでたしめでたしのはず。



?!

しばらくして、私は異状に気づいた。


会場は、静かすぎるのだ。

なぜだ?
そう言えば、床に這っている者もいない。



!!!

なんと、投票総数と計数総数の差を白票を混ぜて、すでに数合わせをしてしまっていたのだった。


まずい。あのカーテンの下のやつは、また隠さなければ。



と、その時だった。
背中から、心臓をえぐる声が聞こえてきた。





委員長!
こんなところに投票用紙が……。




嗚呼!

いつも通りにはいかなかった!
なんと運が悪い。

私は天を呪った。