【反対側小説】初夜。僕は震えた。 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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緊張しているのが、自分でも分かった。少し震えていたかも知れない。
いつも身に着けているのに、僕の相棒はひどく長く重く感じられた。
そう。今日は初めての日なのだ。

目が痛い。
多分、砂が目に入ったからだろう。
唾を何度も飲み込む。口の中がカラカラに渇いている。


と、薄明かりの中、変な奴が近づいてきた。
今度こそ僕は、歯が噛み合わないほど震え出した。
安全装置を外すべきか?
そう、思うまもなく、そいつはそこまで来ていた。

僕は両手で拳銃を構えた。が、肘から先の筋肉が勝手に動いている。これじゃあ、3メートル先にあるウォーターメロンさえ当たらない。


そいつが、胸のポケットに手を入れた。
僕は目をつぶって引き金を引こうとした。
が、隣にいた隊長がそれを止めた。





「ねえ。兵隊さん。火ある?」

タバコをくわえたイエローモンキーが、間抜けした声を発した。



僕は、思いきりそいつをぶん殴ってやりたかった。


隊長が笑いながら、ライターの火をイエローモンキーに近づけている。