緊張しているのが、自分でも分かった。少し震えていたかも知れない。
いつも身に着けているのに、僕の相棒はひどく長く重く感じられた。
そう。今日は初めての日なのだ。
目が痛い。
多分、砂が目に入ったからだろう。
唾を何度も飲み込む。口の中がカラカラに渇いている。
と、薄明かりの中、変な奴が近づいてきた。
今度こそ僕は、歯が噛み合わないほど震え出した。
安全装置を外すべきか?
そう、思うまもなく、そいつはそこまで来ていた。
僕は両手で拳銃を構えた。が、肘から先の筋肉が勝手に動いている。これじゃあ、3メートル先にあるウォーターメロンさえ当たらない。
そいつが、胸のポケットに手を入れた。
僕は目をつぶって引き金を引こうとした。
が、隣にいた隊長がそれを止めた。
「ねえ。兵隊さん。火ある?」
タバコをくわえたイエローモンキーが、間抜けした声を発した。
僕は、思いきりそいつをぶん殴ってやりたかった。
隊長が笑いながら、ライターの火をイエローモンキーに近づけている。