【無形文化遺産】方言 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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いくつか田舎の昔話が続いたので、ここでほとんどの皆さんには理解できないであろう、田舎の方言をまとめてみよう。

方言というのは無形文化財のようなものだと考えているが、かく言う私自身、田舎に帰るとかなり理解できない言葉も増えている。また、すでに消えてしまったであろう言葉もある。

記憶にまかせて、順番などバラバラになり統一性はないが、とりあえず思いつくままに記していこう。

ちなみに、この方言は栃木県東南部付近の山村のものである。
この地方は全国的に珍しい無アクセント地帯だ。だから私は今でも、発音による橋と箸、花と鼻の区別がほとんどできない。
いや、これは自慢にならないな。
では、始めるか。



★イギ
雪のことである。
イとユの混同がよくあり、百合もイリに近い音だ。が、これは共通語にも見られる。例えば、『行く』はイクと読んだり、ユクと発音したりする。
まだ、東北方言にもあるが、一部の語尾が濁音化する。寒冷地に共通する特徴だろう。
だから、ユキ→イキ→イギとなる。




★イギ
駅のことである。
雪とほぼ同音(厳密には微妙に違った)。この地方ではイとエの区別をできない老人が多かった。私の父などは、今でもできない。
語尾が濁音化するのは、雪と同じ理由だろう。
イ音→エ音とは逆に、エ音→イ音もわずかにあった。エロチック→イロデェーックのような例だ。 これは色っぽいという日本語の影響があるかも知れない。



★オシメリオゴド
これを理解できる人は、ほとんどいないだろう。
オシメリとはお湿りのこと。オゴドとはお事の訛りで、遊びなどを意味する。
つまり、雨模様のために農作業を休んで家で身体を休めるという、農作業用語である。この言葉は、私が中学に入る頃には使われなくなっていた。




★メエラズケエラズ
これも、説明がないと厳しいだろう。
メエラズは参らずの訛り。ケエラズは帰らずの訛り。
つまり、行ってはいけない危険箇所のことだ。
メエラズケエラズ沼などがある。




★シコル
格好をつける。見栄を張るというような意味。
シコルは、本来凝るという意味かも知れない。あるいは、大国主の名前のひとつであるアシハラシコヲから来ているのかもしれない。また、鯱(しゃちほこ)ばる由来やも知れない。




★ギッコンバッタン
シーソーのことである。その音からの命名だろう。



★カジワラ
クワガタのこと。これは、全国的に広がっている方言のひとつで、武将・梶原家の戦装束由来とも言われている。ちなみに、隣村ではカブトムシをオニムシと呼んでいた。




★アリゴ
これも、かなりの地域で使われる方言だろう。蟻のことである。アリンコは少しお上品な名称。




★ゲンノ
槌(げんのう)のこと。現在のハンマーを意味する。



★バタンキョ
あるいは、かなりの地方でも通じるかも知れない。
李(すもも)のことだ。最近はプラムというかも知れない。




★ブンブクチャガマ
これはほぼ共通語だが、茶釜のことではない。
野山に生えるブルーベリーの仲間である。実の形が茶釜に似ている。




★デデッポッポ
山鳩のこと。
鳴き声からついた名前だろう。