【チャレンジ随筆】匂いの色 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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比較的近くに、ナツロウバイを植えているお寺がある。
ナツロウバイとは、正月明けに真っ先に黄色い花を咲かせるソシンロウバイの仲間だ。
が、花はまったく違う。
ソシンロウバイが遠目には黄色い梅のように見えるのに対し、ナツロウバイは椿のような花だ。大きさも椿の花くらいある。
ロウバイだと言われなければ、とても同類とは思えない。いや、同類と分かって見ても、私には全く別の花に見えてしまう植物だ。

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横から、正面から、下から観察して満足していると、青緑に銀をまぶした匂いが飛んできた。
シャクヤクである。

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この青緑銀色の匂いは苦手だが、シャクヤクは兄弟のボタンよりははるかに好きだ。
ボタンの持つ赤色の匂いと空気が、私にはいまひとつなのである。


さて、鋼色のロウバイの実を見ていこう。

この寺にはなんと、ロウバイ、ソシンロウバイ、クロロウバイ、ナツロウバイが揃っている。へたな植物園よりすごい。


ロウバイ
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ソシンロウバイ
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クロロウバイ
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と、バナナ色にオレンジを混ぜた色が漂ってきた。

うむ?
ここにも、あやつがいるのか?
もう、何年も来ているのに、あのバナナ色とオレンジ色をミックスした匂いの主を見た記憶がない。

が、確かにこの匂いの色はあやつに違いない。

近い。数メートル以内ではないだろうか。
いや、あやつはドリアンに似てなかなか自己主張が激しいから、風向きによっては100メートル離れていても分かる場合があるが。

しばらく、あたりをガサガサやった。

あった、あった。

日本に入って来たのは江戸時代と新しいが、私にとっては万葉の色がそこにあった。
ただし、匂いの色は平成の東南アジアだが。





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カラタネオガタマ

園芸店などでは、【オガタマノキ】として販売していたりするが、これはあやまり。
オガタマノキの花は、カラタネオガタマの花より、長さで3~5倍、面積では10倍以上あり、20メートルになるものもある高木。
カラタネオガタマは、せいぜい3~4メートルの低木である。


この匂いは、一度嗅げばだいたい覚えられる。