【少し創作記事】おバカなジジイの日々 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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私は激辛



地面に這いつくばって携帯電話カメラを向ける。
私の知らない植物だったからだ。

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と、手拭い頬かぶりしたお姉さんが近づいてきた。
「あのう。大丈夫ですか?」
ありゃ、勘違いされたらしい。
「あっ、すいません。変わった花がありましたんで……」
「あら、お花を撮っていたんですの?」
小麦肌に頬かぶりという姿に似合わぬ声。
「はあ」
「あら、それならヒメイワダレソウですわ。ほら、こっちのコンクリートの方まで垂れ下がっていますの」
「えっ?ヒメイワダレソウ」
私はしばらく黙る。そしてこう言った。

「ありがとうございます。おかげでこの花の名前を覚えられました。一生忘れないでしょう」

「?」
畑にふさわしくない鶯声の主は、つぶらな瞳をるるるるっと動かした。
「初めて見たこの花。そこで姫に会った。それはコンクリート岩にも垂れていた。だから、ヒメイワダレソウ」

「えっ?姫……。うふふ。お上手なおじいさま」
姫の口元に白い歯が光った。







とにかく時差ボケを治さねば。
私はフラりフラりとジテコー殿をこいだ。
と、細い道の真ん中でスマホをいじっている女子高生。
私はキキーッとブレーキをかける。
女子高生は、やっとスマホから目を離し、身体を右に左に寄せた。
私もその動きにあわせて、ハンドルを左右にふる。
が、結局ペダルを踏むのを止めた。

「すいません」
女子高生が言った。

「お嬢さん、あんたが悪いんだぞ!」
私が言う。
女子高生の肩が下がりうなだれた。
「あんまり可愛いから、ジイさんはよろめいてしまったではないか。いいな。あんたの可愛さが悪い!」

頭を垂れていた女子高生の顔が赤らみ、私の顔を見てクククッとやった。
うむ。これはお世辞抜きで可愛かった。

私は、またペダルをこぎだした。
と、テレパシー通信を傍受した。

「エロジジイ。バーカ」


カラタネオガタマ
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