【STAP小説】「ヤギクジラはいますっ!」 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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★表会見

「ヤギクジラはいますっ!」

「あのう、ヤギクジラを何回位見ましたか?」

「200回以上見ています」


………………………………★裏会見

「200回の成功とおっしゃいましたが、1回の潜水に7日間。しかも、3割くらいしか見なかったとおっしゃってましたから、最低670回近く潜水が必要。ということは、正月やお盆も休まずに潜っても14年くらいかかりますなあ。14年前は先生はまだ未成年でしょう。潜水艦免許はなかったのではないですか?」

「いいえ、違います。1日に何度も潜っていることもあります。2011年4月から、ほぼ毎日のように潜水していました」

「それはそれは。記録もたくさんありそうですね。ところで、どうしてヤギクジラと分かったのですか?」
「魚群探知機に角の生えたものが見えたのと、集音機器からメェーメェーという音が聞こえてきたからです」

「ということは、ご自分の目でヤギクジラを確認なさったわけではなく、機械がとらえた映像からの判断なわけですか」

「角の生えたクジラで、メェーメェーと鳴くのはヤギクジラしかいません!」

「例えばですね。ネコクジラと間違った可能性はないでしょうか。ネコクジラの耳は角にも見えますし、ニャーニャーという鳴き声も、メェーメェーに聞こえたりしますから」


「それはあり得ません。あの海域にはネコクジラはいませんから」

「しかしですね。あの動画を見る限り、角の鋭角さが欠けていて、ヤギクジラよりはネコクジラに見えるのですよ」

「感じかたは、人それぞれですから、そのご意見には答えかねます。」




………………………………
★明日のケビン・コスナー氏(予定)


「ボディーガード先生。ヤギクジラというのは、先生がご専門のネコクジラではとの話も出ていますが、どうお考えですか?」

「それはね。君たちがネコクジラの習性を知らぬ机上の空論しかできないから、そう考えるたりするんだろうな。ネコクジラはだな、ヤギクジラみたいに群れたりしないのだよ。映像を見る限り、明らかに群れている。これはネコクジラにはない性質だ」

「すいません。もうひとつあります。なぜ先生はそこまで強く信じらるのですか。あんなメチャクチャな航海日誌しかないのに」

「いいかね。ネコクジラには顎ひげがあるかね。ネコクジラにはけしてあり得ない、立派な顎ひげをもつ映像がある。とすると、やはらヤギクジラだとなるわけだ」


「あのう。ひとつ質問があります」

「どうぞ」

「ヤギクジラといわれる動画の顔の形が、私にはネコクジラに見えます。骨格が違って見えるのですが」

「印象については個人差があるでしょう」

「いや、印象ではなく、どう見ても動画の顔は丸型。ヤギクジラなら三角ではないでしょうか?」

「まあ、それは見方、感じ方でしょう」

「先生!今回の潜水にチェッ・チェパード網元が乗っていたとの話がありますが、どうなんですか」

「それは今回の会見内容には関係しませんので、お答えできません」

「チェッ・チェパード網元は、ネズミクジラ販売の元締めですよね。ヤギクジラも同じように……」

「今回の会見には一切関係ありませんので、お答えしかねますし、私は関知しないことです」


ツルニチニチソウ
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