さて、この人たちはどこから来たのでしょうか。
現代の有力な説では、台湾から北に琉球諸島をたどって北上してきたのが、昔の日本人。南下しへフィリピン、スラウェシを経て東の島々などに移り住んだのがポリネシアンとされています。
このあたりは、DNAから推測したようですから、かなり信頼性はあると思われます。
では、そもそも台湾にいたモンゴロイドは、どこから来たのでしょうか?
距離的には、現在の中国・河南地方が台湾に近く、最も可能性が高そうです。
現在の河南地方は漢人の住む土地ですが、かつては今の漢人とは違い、いわゆる少数民族の住む土地であった可能性があります。
モンゴロイドは、もともとは今のモンゴル高地あたりに住んでいた人たちで、東はアリューシャンを経て南アメリカ大陸、西はトルコから北欧フィンランドにいたるまでの、広範な地域に住んでいます。
つまり、人類の生まれ故郷であるアフリカ大陸を除けば、地球上の大半の地方に移り住んでいるのです。
西部モンゴル高原(アルタイ山脈麓)あたりを中心に広かったモンゴロイドですが、その元をたどると中東、さらにはアフリカに行き着きます。
現代知られているところでは、アフリカが人類誕生の地と言われています。これは女性にのみ遺伝するミトコンドリアの遺伝子研究から、分かったことです。
ただし、また新たな事実が出てきて、この説が覆る可能性ももちろんあります。

アフリカから中東を経由してモンゴル高原に至るには、中央アジアと呼ばれる草原地帯、今のカザフスタンあたりを通ってアルタイ山脈あたりに着くルートが考えられます。
このアルタイあたりに住んでいた旧モンゴロイドの言語は、現在のモンゴル語、満州語、朝鮮語、日本語、トルコ語、ウイグル語などに共通した特徴があるため、これらをまとめてアルタイ語などと呼んでいます。
また、これにはフィンランドで話されるスオミ語や、ハンガリーで話されるマジャール語を入れたりします。
これらは、言語や外見が似た黄色人種の国々です。
ただし、現在は中国語と呼ばれている言語は、日本語などアルタイ語とは全く異なります。
また、インドなど南アジアで話されている言葉はラテン語などヨーロッパ語に近く、また民族も欧州系です。
さあ、そろそろ推論の結びに行きますか。
こうした草原の道をたどってきたアルタイ語族の祖先は、中東のどこから?
はい。それこそメソポタミア。つまり、現在のイラク南部から逃げてきた人たちだと思うのです。
後のアッカド人たちに追われたシュメール人が、北はウラルからカザフスタンを経てアルタイ山脈付近につき、ここを中心に各地に広がっていった。
そう考えるわけです。
ちなみに、世界最古の文字を持つ、メソポタミアのシュメール語も、日本語に非常に似た作りをしており、仮にシュメール語の文法を学ばなくても、単語さえ覚えればおよその意味は理解できます。
一方、南に逃げた人たちもいたでしょう。
彼らは海路、陸路を経てインド北方からチベットに移り住んだと思われます。
台湾にはどちら方面から来た民族が移り住んだかはさておき、シュメール人とは密接に関係しているかも知れません。
私は、そう考えています。
これらの国々の多くでは身体や言葉だけでなく、神話にも面白い共通点があります。
それは多くの神々の中の最高神の名前が、アムやアマが入るか、それに近い音だということです。
さて、縄文人やポリネシア人はこのあたりまでにして、いよいよ私たちの直接の祖先である弥生人について考えていきますか。
その前に、一休み。