【小説の構想】『発見!万能細胞』あらすじ | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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白野は窮地に陥っていた。もう既に2期連続で配当金が出せない。もし、今期も無配となったら管理株になってしまう。大口の坂東からも、5万株を昨年の相場に色をつけて引き取れと言われていた。
昨年の相場で買い取るだけで、5億の赤字だ。

そんな白野に、悪魔が囁いた。

教え子の大門にストーリーを書かせよう。 確かあいつは、それに関わっていたはずだ。
前から面倒をみていた篠江がキャップをしていた。よし、それでいこう。とにかく、1月末日までになんとか去年最高値レベルまでもっていかねば。そうすれば坂東も売りを思いとどまってくれるだろう。



テレビは、コボちゃんの話題でお祭り騒ぎとなった。
コボちゃんとは、三十路を前にして、世紀の大発見と言われる万能細胞発見者である、古保田清子の愛称である。 古保田は、なんと細胞に軽い電気ショックを与えるだけで、それまでの複雑な作業をすることなく、すでに分化した細胞を万能細胞にリプログラミングできるという論文を世界的な雑誌に投稿し、それが掲載されるというのだ。しかも、2論文同時掲載である。これは極めて異例なことだった。
この雑誌は、本来なら店頭に並ぶのは月初である。が、あえて月末に内容をリークした者がいて、日本ばかりか世界中がお祭り騒ぎとなったのである。

この論文の中には、万能細胞を作り出すために必須のフィルム名が、何度も出てくる。
古保田の直属の上司である篠江とそのフィルム会社は、切っても切れない関係にあった。いや、篠江だけではない。篠江同様、論文共著者の中には、フィルム会社の白野や、元部下の大門、さらに常に怪しい噂の絶えぬバケラッタもまた、その名を添えていた。
バケラッタは、古保田がパッパカダー大学研究員として留学していた時の指導教員だ。
そこで古保田は、自らバケラッタの妖精とまで言うほど、バケラッタに接近していたのだった。

万能細胞の華々しい報道のおかげで、白野の会社フィルムウィザード株は、一気にストップ高となった。また、そのフィルム素材提供会社であるタンタルスビブロもまた、3日連続でストップ高となる。


が!

ここには大きなトリックがあった。
古保田が軽い電気ショックで生み出したと思われた細胞は、実はすでに作成方法が知られているES細胞だったのである。
それを混入させたのは……。


その真相に近づいた元リーダーの脇山は、離島に追放されている。
大門とならび、このストーリーに重要な役割を果たした時田もまた、自宅から消えている。
それと比べると、篠江は大物だ。
素知らぬ顔で、全国で講演会を開いている。

ただ、どんなに頑張っても、今回は篠江にまで泥が飛ぶ。

しかし、白野は参考人として事情聴取されるだけであろうし、間違っても坂東やその上にまでは跳ね返りが届くことはない。

一見反逆者となった脇山は、非常に微妙な立場だ。


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(ラッキョウヤダケ)

これは、全くの創作であり、万が一類似した事柄があろうと、一切関係がありません!


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(サクラの仲間・花後)


追記

インターネット世界のすごさを、改めて実感している。
マスコミ報道より、1ヶ月も早く伝わる話があったりする。

いやいや、警察発表1週間前にある話が噂されたりしていたこともある。

すごいなあ。