冬に野分けの来たりていと雪の降りたるつとめて
あけぼのまでおろしあのくぐつなどの競ひたるを見てより眺むれば 憂き世のけがらはしきなどみな隠したるやにあらむ
夜目にも白く輝きたる
庭の枯れ草どもも隠れて 我が庵さへ 美しうありける
日の高うなりて起きければ 右隣左隣のいへの前なる道の雪をかきて 我が庵の前のみ雪のうづ高くありけり
いひなどもとらず まずはかきたるも 心の臓のぱあくぱあく 息はずうゑずうゑとなりぬれば いひのかはりににこちんとかあふいいをいただけり
七割がところをかき終へしに 肩などのひきつるやうにて 止めにけり
わづか1日たりといへど かかるやうにありけり
いはんや たうほくのおおなゐの難にあひし輩をや
肩ならず 脛までぴやうぴやうと泣き始めたり