実際には、島倉千代子や吉永小百合など芸能人を狙った連続爆弾送付事件をモチーフにしたのだろうが、よくぞこれをオリンピックに繋げた。
さらに、メインテーマを、秘密とオリンピックの陰で泣く労働者の悲哀のみならず、東京と地方の格差、表面的な豊かさの中に潜む残虐を、うまくストーリーとしてまとめあげた。
すご腕のプロデューサーがつき、素晴らしいキャスト、素晴らしい演技であった。
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なお、別の見方をすれば、映像の中に盛りだくさんのメッセージをつぎ込み過ぎたため、日本人の心理をあまりに突き過ぎたかな、朝日さんの必死さがちと強すぎたかな、とも感じた。

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敢えて「草加次郎」をオリンピックに繋げたのは、ちとやり過ぎだと思ったのだ。
つまり、意図が見え見えだから、いささか胃がもたれる。
また、些細なことだが、構成にかなり無理がある。
しかし、作品全体としてはなかなか素晴らしい。
オリンピックに接ぎ木したのが悔やまれる。
もっとも、そこを強調したかったのだから、これは外せなかったのだろう。
