この船は海の上を、たいへん丁寧に航行する。
だから、丁寧なお名前も持っている。
この船には、大きな問題が2つある。
ひとつはエンジンだ。
あまり無理をすると壊れてしまう。
だから、丁寧に航行せざるをえない。
もうひとつもエンジンに関係するのだが、ガタイの割に力のないエンジンだから、スピードが出ない。
この船からは飛行機が飛び立つことはできても、着艦ができない可能性が高い。
というのは、飛行機の着陸には向かい風が必要だ。
さらに、短い距離で止まるためには、着艦すべき船は向かい風に向かって相当なスピードで進む必要がある。
しかしながら、この船が最大出力をしても、飛行機が着艦できる最低速度を出せない。
この船を飛び立った飛行機は、どこに着陸するのだろうか?
謎である。

ふたつ目の船は小さなやつに関してだ。
この船の規模だと、せいぜい100人かなと思ったら、250人くらい乗せるつもりらしい。
はたして、寝る場所は取れるのだろうか?
1、2日なら椅子で寝るというのもやむを得まいが、1週間となると相当つらいだろう。
その後からが、本当の仕事なのだが、着いたら皆グロッキーもありうる。
実は、もっと致命的なことがある。
それは、その船の構造だ。
本来は沿岸の穏やかな海を回るために作られたものだから、外洋に耐えうる構造なのか、いささか不安である。
かつ、船底までが短いため、横波で大きく揺れてしまう。
甲板水浸しは当たり前になるかも知れない。
これから強い季節風が吹き荒れる。
外洋どころか、停泊していただけなのに沈没などという話も耳に入ってきた。
この小さな2隻の航海は、体力だけでなく、常に沈没の不安と戦う、強い精神力も必要だ。
が、航海が目的ではない。
着いてからが仕事なのだ。
着くまでに全体力、全精神力を使い果たさないことを祈ろう。
と、いうか、あんまり見栄はって無理しないのがいいと思うんだよなあ。
この間の、F1みたいになってしまうおそれがある。
余計信頼感がなくなる。
同時に、リュージュ、大回転あたりも。
