「はあ?何のことでしょか?」
「最近、お宅で金庫を買ったでしょ」
「あら、よくご存知で」
「ええ、息子さんから聞きました」
「あれま。息子はそんなことまでお隣さんに?」
「えへん。毎日あめ玉あげたり、蜂蜜パンパンあげたりしてますから」
「ありゃ。うちではよそ様で勝手におよばれしないよう躾たつもりが……」
「いいんですよ。そんなこと。息子さんにもお世話になってますし」

「あのう。元の話に戻りますが、なんかうちの秘密なんとかって、なんでしたっけ」
「あのね。お宅では、金庫に鍵かけたでしょ!」
「まあ、金庫とはそういうものですから」
「いけないわね。暗証番号を息子さんに教えないでしょ」
「そんなもんは、普通は教えませんよ」
「あらっ。差別ですよ。息子さんにも暗証番号を教えるのが平等。教えないのは虐待です!すぐに教えなさい!」
「はあ?」
「はあ?じゃございません。それが常識です!」

「お言葉ですが、お宅には南京錠を5つもかけた地下室があるそうじゃないですか。その鍵を息子さんに渡したりしますか?それに、地下室の廊下には、あちこちに地雷が埋めてあるとか」
「ひどい!我が家のことをそんな風に言うのは、プライバシー侵害、名誉毀損です」
「でも、事実ですよね」
「いいえ、とんでもない間違いです」
「えっ?何が?」
「うちでは南京錠ではなく、虹彩並びに声紋、およびDNA認識システムを使っています。
また、地雷じゃありません。レザーカッターと中性子銃、それとマグナムですわ。
失礼ね!」
「…………」
