そんな中、今天使の都は北風が吹き荒れ、いっそう寒さとホイッスルの音に、市民たちは不安な日々を送っているに違いない。
今回、デモ参加者10万人とも言われるほど大規模になった裏には、複数の複雑な理由がある。
ひとつは、邦貨数千【億】円相当の罰金を科されたものの、国外逃亡している現首相の兄の存在だ。
デモの半分くらいは、この首相の兄の恩赦に反対するもの。
しかし、残り半分は恩赦賛成派。
つまり、政府側である。
これが表面上に現れる、あるいは日本で報道されるバンコクデモの理由だろう。
しかし、実情はそう単純ではない。
恩赦賛成派にしろ反対派にしろ、都市部や高官の実生活に直接関わってくるからだ。
さらに、農村部ではよりねじれた、あるいは切実な現金収入と、お小遣いにも関わりを持つ人たちがいる。
今回の首都でのデモには、農村からの参加者はほとんどいないだろうが、各地に小さなボヤは起こっている。
また、これは当地の人ならほとんどの人が頭にはあるが、言うと逮捕されてしまうあたりにも深く関わっているだろう。
日本人にとって幸いなことは、こうした不満が日本や日本人に向かうことは稀だということだ。
いろいろな意味で、非常に重いタイの11月下旬。
仮に拡大しても、今月中には一旦休戦するのが、タイでは常識中の常識。
確率は低いが、万が一この暗黙のルールを破り12月に入ってもデモを続けていたなら、非常にまずいことになる。
まだ、そうなるとは思えないし、万が一そうなったなら、タイの人たちは忘れ得ぬおおいなる苦しみを味わう可能性も否定できない。
日本でのこのあたりの報道は、全くと言ってよいほど聴くに値しない。
