【外国人の見た日本】5 リーズデイル⑤ | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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英国貴族リーズデイル卿の見た日本と日本人。
英国へ戻る船が、伊豆付近にさしかかったあたりでしょうか。
富士山の姿に感激する場面です。

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我々の滞在中、富士山がその姿を現したことはほとんど無かった。
雪や雨がちな天候で、だいたいが秘密のヴェールに包まれていたのである。
しかし、この日の午後は違った。
空には雲ひとつなく、日が沈み始めると燃えるような空となっていった。
その空を背景に、堂々たる威厳あふれる山が、その神秘的で荘厳なる姿を見せてくれたのだ。
この夕方に見た光景ほど、雄大で印象的なものは見たことがなかった。
いや、世界中のどこにも、これほど美しく偉大な山はないだろう。

海面近くから1万2千フィート余の高さまで、優麗な曲線を描きながら天にも達しそうな円錐形の山が、この世界のどこにあるだろうか。

この山が、詩人や画家にこよなく愛され、何らかのインスピレーションを与えたことは当然だろう。
人々がこの山を見て畏敬の念にうたれ、神として崇めてきたことは、さもありなんと感じたのだった。


日の本の
大和の国に
治しめす
これぞ神なり
宝なるらん



リーズデイル卿日記
おわり


次回からは、フランシスコ・ザビエル予定。