当時は、今のようにテレビ1人1台時代ではなかった。
ボリュームを下げてラジオを聴く。
で、ハッと気付くとジェットストリーム。
ここで、もう不味いなとなって寝るわけだ。
(この比喩は、50代から60代の方しか分からないかな?)
そんなある日、誰がその日のパーソナリティーだったか忘れたが、○○師匠のところに居候しているという、森田なる男を紹介した。
耳から受ける雰囲気は、ひどく恥ずかしがりやに思えた。
が、次の瞬間、全く別の人格が現れる。
確か、朝鮮放送だった気がする。
いや、四人麻雀だったか。
笑い転げた。
すごい物まねだと思った。
それが、おそらくタモリが全国放送に流れた、最初ではなかったろうか。
しばらくすると、タモリは単なるゲストどころか、その番組のメイン・パーソナリティーのようになっていく。
数年後にテレビにも毎日登場することになるが、あれだけ芸達者なら当然だと思った。
そんなタモリの凄さを表す典型的なものが、表題にした『ソバヤ、ソバーヤ』だろう。
ソバヤ、ソバーヤとタモリを繋げられる人は、やはり私と同年の変人に違いない。
ソバヤ、ソバーヤというのは、単にその言葉を繰り返し歌うだけのものだ。
基本は、ラララ、ラー

たぶん、そんな音階だ。
それだけで場を盛り上げてしまう。
普通ならあり得ない。
1分もせずに飽きられてしまう。
が、その微妙な音階のブレ、発音が周りを引き込む。
ラジオで本人が言ったところによれば、仲間うちで1時間以上盛り上がったことがあるらしい。
これだけ聞いたら、病気だなと感じるだろう。
私も、当時のタモリの雰囲気、日本全体の風を知らなかったなら、そう感じるはずだ。
ソバヤ、ソバーヤ
タモリというと、私はこれを思い出す。
彼にしかできない芸だからだ。

