私だって、本当はイルボンがすべて悪いとは思っていない。
アボジは酔うと、懐かしそうに日本語で軍歌を歌っていた。
外では鬼と呼ばれるアボジの、そんな姿が私は好きだった。
でも、そんなアボジは殺された。
殺したのは、イルボンサラミではない。ハングクサラミだ!
そう、私のオムニも殺された。オムニを殺したのも、イルボンサラミではなく、ウリの、ああ、ハングクサラミだ!
今私は、イルボンとは敵の役割をしなければならない。
昨日も野党の奴らが、聞こえるように陰口をしているのを聞いた。
嘆かわしい。最近は貧乏人の娘が生意気なことを言う。
ふん!
貧乏人の娘だが、大統領になった男の娘だ!
貧乏人の娘だが、科挙に受かった男の孫だ!
私はそう呟きながらも、アボジの好きだったイルボンに歴史を見直せと、空威張りしなければならない。