【小説】霊視講座 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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私は楽しんでる



4月からフリーターじいさん、いやプー太郎じいさんをしているボケジジイがいる。

はあ?ええ。
その通り。
長いお付き合いのブロガーさんなら、あああの人だなと見当がついた方の話である。


今回は、その方に代わって、私が彼の体験した爆笑霊視講座の話をしてみよう。





……………………………
……といった血も滲む修行の末、儂は人から発するオーラを見られるようになった。うにゃ、その力を各々方にも一瞬とはいえ伝達する力も手に入れたのである!



(エーッ!すごーい。パチパチパチ)




うむ?

この中に邪気を吐く者がおる。
カーッ!

(シーン)


儂の話を信じぬ者がおーる!

カーッ!
(シーン)



よし、かくなる上は、皆にその力を見てもらう他はあるまい。


各々方。


順に並ばれよ。
(ぞろぞろ、…………)




よいかな。
儂が、各々の第三の目に手をかざす。
さすれば、各々には今まで見えぬものが見えてくるであろう。

地天丸、例のお札をこれへ。


ははーっ。

(地天丸と呼ばれた男が、トランプのカードのようなものを持ってくる。そこには、ハングルのようなヒエログリフのような絵が描かれている)




よいかな、皆の衆。

これから儂が、このお札の1枚にのみ念を入れ申す。

キエーッ!



さて、皆の衆。
儂がどのお札に念を入れ申したか、はっきり分かる者はおるか?




いないようじゃの。
では、並ばれた各々に、儂の力を与え、即座にそれが分かるようにしてしんぜよう。

さて、参られよ。



先頭の男が首を傾げながら近づく。

老師と呼ばれている男は、半信半疑顔の額にやおら手をかざした。


と、男の目が見開かれた。
目をこすっている。
自分に起きていることが信じられぬといった顔だ。

2番目の奥さんは、とんがり眼鏡をかけ直す。
えっ?えっ!とか言っている。


そんなことが続き、とうとう私の番になった。



老師と呼ばれる老人は、やはり神妙な顔つきで第三の目があるという、私の額あたりに手をかざした。
とたんに、お札の中の1枚の中央に丸い白点が現れた。


やはりな。と私は思った。


どうじゃ、儂の念を入れたお札が分かったかな?



私が何ら反応を起こさないので、その老師と呼ばれるぺてん師が口を開く。



老師、お手数ですが、反対側の手で、もう一度お願いしたいのですが?




ぺてん師の顔が歪んだ。





……………………………
赤外線関連装置などを利用して、これを額付近(両目近く)に置くことにより、事前に900ナノメートル以上長い波長(赤外線のために人には見えない)に反応するもので描かれた模様を見えるようにすることが可能だ。

この装置はボタン電池程度の大きさで、簡単に手のひらに隠すことができる。

かつては、手品やマジックの小道具だった。


今は、インチキ霊能力者の金儲けにも利用されているようだ。


でも、トリックを知らないと信じてしまうだろうな。



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