
★本記事はたぶんに誇張表現に溢れており、蚊が象に見えたという文学を参考に記しておりますので、そのつもりでお読み下さい。
アメ風呂でお付き合いいただいているブロガーさんの強い勧めにより、AKBが一堂に会した館を訪れた。
AKBという言葉は聞き慣れない方もいると思われますので、簡単にご説明いたします。
AKBとは古い地名で、安房(房総南部)から葛飾(房総北西部)に至る地域の仏像のことです。
安房・葛飾・仏像のそれぞれの頭文字を取り、AKBというのです。
現在の行政区ですと、千葉県の仏像ということになります。
朝早くから草鞋の支度を整え、開館と同時にAKBにご対面。
いやあ、驚きました。
そのブロガーさんが強く勧めたわけが分かりました。
が、ここで2点ほど私を怒らせるものを見てしまいます。
そのひとつは、十二神将という仏陀を守る十二のいかつい体つきの神々(仏を守る者たちであり、神という表現は正しくないが、まあ似たり寄ったり)の配置でした。
彫刻はいずれも、東京博物館にあってもおかしくないくらい素晴らしいのです。
が、その並べ方たるや、陰陽道の配置とは異なっております。
で、私は館員の方に邪鬼にも負けないくらいの、憤怒とにやけ顔で詰問したのです。
「この並べ方はどないしたとね。一、二、三、四、五、六ときたら、次は七じゃろう。なんで十二になっちまうとか」
館員は顔を青くしながら、唇を振るわせて答えました。
「お客様。恐れいります。しかし、これはデザイナーに任せておりますので……」
「じゃからっしゃい。かような並べ方をすれば、子どもの算術にもわろし。すぐにば、並べかえらっしゃい!」
「いや、お客様。お言葉ですが、ただいま展示中でございますれば」
「うーむ!このエセ陰陽師たる儂の言うことがきけぬと申すか」
「は、はい。申し訳ございませんが」
私は怒りのあまり、コウモリ傘を振り回してやろうかと思ったが、傘は入口で召し揚げられてしまっているので、それもできなかった。
まあ、鎌倉時代の金剛力士像を見ているうちに、怒りはおさまっていったが。
が!
江戸時代の欄間の透かし彫りを見て、またまた頭が沸騰する。
幾多の鳥獣のあ・うん彫りがあった。
と、その中の「犀」のあ・うんが左右逆であることに気づいた。
「こりゃ、監察人。ちと、来られよ」
「はい。何か?」
「何かではあらんぞ。なんじゃな、この犀の配置は。左右逆であろう」
監察人の顔に灯りが灯った。
「はい。そうおっしゃる方もいらっしゃいますが、これは古来からかの寺に伝わりました配置でございます」
「何?では、このエセ仏師の儂の観たてが誤りと申すか」
「あたくしは分かりませんが、伝承に従ったまででござります」
「うむ!さらば、エセ仏師たる儂の一生の恥。いざ腹をば切り申さん。いや、すでに先月腹を切り申したゆえ、この場にて介錯をば賜わらん」
私はその場に座し、えり首を晒した。
「お客様。ここで立ち止まられますと、後の方のご迷惑になります。先に進んでいただけませんか?」
うーむ。後の迷惑にならば、仕方がない。
苦汁の選択により、私は順路を進んだ。
で、館の外にあったのが、先に掲載したこれである。

仏様もガチャポン時代になった。
しかし、AKBは予想以上に素晴らしかった。
ここに、改めてそのブロガーさんに感謝を述べたい。
女子大生っぽい方がことの他多いのには、いささか驚いた今日である。