
私が子ども時代なら、野山に当たり前の草だった。
が、その後訪れた野草ブームで盗掘され、めっきり減ってしまった。
罪なことだ。
イチヤクソウは腐生植物と言って寄生植物に似て、ただ掘り起こして植えただけでは枯れてしまう。
私の住んでいる半市街地の山では、この2株以外は見つからない。
真冬でも緑の葉を付け、雪をかぶりながらも耐える姿には惚れ惚れする。
けして美しい花というほどではないが、気に入っている野草だ。
ショートカット、おかっぱ頭の小娘風情である。
一昨年あたり前に2株に増えた時は、娘でもできた気分だった。
散歩道に近いことが、不安の種ではあるが。
イチヤクソウは名前通り、全草が薬草となる。
このあたりも、盗掘を加速させたのかも知れない。
田舎では、イチヤクソウを採るなという決まりみたいものがあった。
腐生植物とは知らなくとも、家に持ち帰っても枯らしてしまうこと、いざという場合の薬になるという知恵があったからだろう。
