むかーし、むかし。
秋津村にのほほんというおじいさんが住んでいました。
のほほんおじいさんの向かいは、はしむにじいさん、斜向かいにはといといじいさんというおじいさんが住んでいます。
はしむにじいさんもといといじいさんも、時々のほほんじいさんのキュウリ畑やトマト畑に入ったりしています。
そこでのほほんじいさんがこう言いました。
おらげの畑に入るとは、はなはだ遺憾です。
と、はしむにじいさんが言います。
この畑は昔っからおらのもんだと。
おらのじいさんと、おめえさんのじいさんで境目の取り決めを守んねえのは、おめえさんの方だと。
はしむにじいさんが言うには、昔、おじいさんのおじいさん同士で境目の取り決めをしたときには、その時カラスが歩いていたところを境目にしたということでした。
確かに、さっきいたカラスは、のほほんおじいさんのキュウリ畑の真ん中に止まっていました。
ですから、のほほんおじいさんはごめんなさいと、はしむにじいさんに謝りました。
といといじいさんにも、はなはだ遺憾ですと強く抗議しましたが、といといじいさんはこう言いました。
おらのひいじいさんと、そっちのひいじいさんの間で、境目は犬の小便すっとこって決めたんだ。
ほれ見てみろ。今あそこでノラが小便引っかけてんのは、トマト畑だんべ。
その通りでした。
ですから、のほほんじいさんはごめんなさいと頭を下げました。
のほほんじいさんにも、はっきりとお隣さんとの境目が分かりました。
めでたし、めでたし。