最近マニアで話題ものに、地震兵器、通称HAARPなるものがある。
この兵器の理論は実に滑稽なのだが、基礎となる理論のひとつひとつだけを断片的に調べたりするとけして誤りではないので、それを組み合わせた地震兵器なるものも科学的に立証できる、存在すると勘違いしてしまう。
この地震兵器なるものの存在を、常識としている政権担当国会議員までいるから呆れてしまう。もっとも今の国会は幼稚園のお遊戯よりレベルが低いから、そうした先生方がいらしても不思議ではない。
さて、ではその地震兵器とやらの基本的な考え方から見ていこう。
地震兵器の基本にあるものは、地震の際に発生する電流が電離層などに影響を与えるという理論である。
この変化は逆もありで、電離層などを変化させたり、あるいはある周波数の電波を用いて地球を取り巻く層で跳ね返して地震を発生させるものだ、との理論である。
物理を多少学んでいれば、これだけでもうあとの説明は読む必要がない。
なぜなら、あまりに非科学的だからだ。
が、あまり物理を知らない場合には、以下にあるような科学的にも認められている説を繋ぎ合わせて、事実だと勘違いしてしまうだろう。
ではまず、この地震兵器の根拠たる地震発生理論から考えていこう。
これは以前記事にしたが、地震雲発生理論とうりふたつだ。
つまり、
①地震前に生ずる地殻の歪みで、地殻岩盤に圧力がかかる。
②地殻を作る岩盤には、石英などが大量に含まれる。
③石英などに圧力がかかると、一種の電磁波が生じる。
④この電磁波が地殻から地上へ、さらに大気中を通って電離層まで届く。
⑤地震による電磁波により電離層が変化し、光などを発したりする。
※地震雲説ではこれが、雲を作るとなる。
こうしたエセ科学で特徴があるのは、説明の途中途中に、やや難しい科学用語を入れることだ。
たとえばそれは、圧電効果だとかピエゾ電流だのといったものだ。
多くの場合、そうした言葉に慣れていないだろうからインターネット辞書などで調べたりする。と、ああホントに石英などに圧力がかかると電流が流れるのか、ふむふむ。おお、百円ライターにも使われている。なるほどなとなる。
そこでこう考えるだろう。
ライターをつける力でも火をつけるに十分な電気ができるなら、地震のように地面全体が圧縮されたら、莫大な電気が発生し、そりゃ空の上にも届くだろう。
なるほど、これは正しいぞとなるかも知れない。
さあ、この話の変なところに気づいただろうか。
地殻に石英が多いのも正しければ、それに圧力をかけると電流が発生するのも正しい。
が、その電流が地表まで、いや上空まで届く?
これはほとんどあり得ない。テレビや冷蔵庫からでる電流はアースといって地中に吸収させてしまいますよね。
圧力効果で発生する電流も、みな地殻が吸ってしまい地表には届きませんし、ましてや上空には届きません。万が一地表や上空に届くほどの電磁波が発生しているなら、地上の生き物はみな電子レンジの中に入ったようなもので、丸焼きになります。
ですから、この逆を利用したHAARPなるもので地震は起こせません。
いやいやHAARPは電離層を破壊したり、電離層に、特定周波数で拡散しない電波???を反射させて、その土地に地震を起こさせるといった考えもあるでしょう(電離層は常時動いているのではないかなあ?)。
いいですか。
電磁波がある層などで、鏡に当たった光みたいに反射する? 拡散しない?(ある地震兵器説は、そういった内容に思われる)
そうしますと、私たちは短波ラジオが聞けなくなります。 光が鏡に反射したり、レーザー光線がほぼ平行光を発するようなものと同一でもありません。
万が一、そうしたものが地上に反射して降ってきたなら、地震が起きる前に人間チャーシューが出来上がります。
10Hz程度の低周波を反射させ、人の脳を破壊する?
おいおい、そんな低周波音をどうやって大気圏より上まで飛ばしますか。
仮に、仮にですよ。それが可能なら空を飛んでいる鳥がみな落ちてきます。
だいたい、そんな低周波音をどうやって拡散させないようにしますか?家の中でオーディオを聴くのとはわけが違い過ぎます。
少し難しかったと思われますので、簡単な喩え話を考えました。
ブラジルのサンパウロで、カーニバルが行われているとします。
カーニバルの踊り子たちが踊りだしますと、地球の振動と共鳴し増幅されます。
この増幅された振動は拡散せず地核を通り抜け、地球の反対側にある日本で大地震が起こりやすくなります。
どうですか。素晴らしい理論でしょ。
地震兵器理論と同じくらい、素晴らしい理論だと自負しています。