放射性物質などというと難しそうですし、実際に難しい話も多いので簡単な話にしてしまいます。
この放射性物質や放射線に関して、スーパーにたとえて考えてみましょう。
放射性物質とは、お店に並ぶ品物の一部です。
それは魚であったり肉、野菜であったり、また貝やら刺身、漬物です。
とにかくいろいろあります。
サンマで考えてみましょう。
サンマと言っても、活魚もあれば缶詰めもあるし、焼いたものもあるでしょう。
このうちの、活魚が放射性物質にあたります。
別の言い方をすれば、焼き魚であろうが缶詰めであろうが、あるいは生きて泳いでいようが、総じてサンマです。
このサンマという名前に相当するのが、例えばセシウムです。
缶詰めのサンマは泳いだりはしません。 これを放射線を出さない、つまり放射能を持たないとします。
この放射能を持たないものがセシウム132。
一方、泳いでいるサンマはセシウム137としますか。こちらを放射性のあるセシウム。あっ。これは生きている魚には放射能があるという意味じゃないですよ。
自分で動く力を放射能にたとえての話です。
さて、魚はサンマだけではありません。
ドジョウやウナギもいるでしょう。これがストロンチウムやヨウ素。
中には大きな水槽でマグロを泳がせていたり、刺身にして並べているかも知れません。こっちはプルトニウムかな。
ところで、魚を数えるときには、普通1匹とか2匹と数えます。
これがベクレルです。
ですから、サンマ1匹も1ベクレル。マグロ1匹もまた1ベクレルです。
でも、これを同じ尺度で考えたら、なんか変ですよね。
だから、サンマは1匹で1人前。マグロは1匹で100人前と仮定します。
この仮定がシーベルトになります。
つまり、サンマなら1ベクレルで1シーベルト、マグロなら1ベクレルで100シーベルトなどとするわけです。
しかし、これにも問題があります。
サンマはすばしこくなかなか数えられなかったり、岩の間に隠れたり、あるいは数える人が疲れて、見逃したりします。
ガイガーカウンターは、そういう意味で、結構サボりが得意です。
面倒だから、写メにして数えるという方法もあります。これは半導体などを使って放射線量を推定するのに似ています。
この方法では、底にいる魚が上の魚の陰で見えなかったりもします。
家庭用の簡易放射線測定機器は、これが大半でしょう。
なお、マグロやサメなどは大き過ぎて写メには写りません。
また、食中毒をおこすボツリヌス菌がわんさか繁殖していても、分かりません。
いや、家庭用簡易測定機器では、カツオの写メを撮ってもサンマしか数えられませんから、魚は0匹。
つまり、0ベクレルとか0シーベルトという値になってしまいます。
ましてや、貝や海藻はどんなに活きがよくても判別できません。
家庭用でもやや高い機器なら、サンマとマグロくらいは計れるでしょう。
が、ボツリヌス菌や海藻はまず測れません。
だから、多くの家庭で測定しているものは、スーパーのサンマやイワシの数だけです。
そのあたりを知らないと、発表される数値に一喜一憂することになります。
例えば、サンマの数だけ比較して、隣の花屋よりこっちのスーパーのが活きがいい、などというわけの分からない議論になってしまいます。
でも、ニュースなどを見ると、そうした見方が大半に感じます。
なお多くの機器は魚は測れても、肉や果物は測れません。
まとめますと、多くの測定機器はスーパーのサンマの数を測っているだけであり、スーパー全体の魚はもちろん、肉や野菜果物を測っているわけではありません。
サンマが一番簡単に測れるからというのも、一つの理由でしょう。
肉、野菜果物まで測れる機器は、0が3つ4つ違うでしょう。