(小説)波動問答集 その1 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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俺:師、何をなさっていらっしゃるのですか?


師:ふむ。日本中に平和の波動を送っておる。


俺:凄い!
師は、あまねく日本中に波動を送っていらっしゃるということですか?


師:そうじゃ。


俺:波動力は距離の2乗に反比例しますから、北海道とか九州とかでは、ええと……。
師と俺の距離が1メートル。北海道や九州のハズレまで約1000キロメートルとして、1000000メートル。
それの2乗だから、1000000×1000000で、1000000000000。
だから、一、十、百、千、万、……。

えーっ!
1兆!
嬉しい。俺は北海道や九州の人の1兆倍の波動をもらってる!

金に換算しちゃいけないが、北海道の人が1円分の波動なら、俺は1兆円分の波動をもらっていたのだ!


俺は驚き過ぎて気分が悪くなった。





俺:ところで、北海道への波動はどうやって送るのですか?


師:馬鹿者!
北海道はここから見ると北北東。
そちらの水平線に沿って、手をかざすに決まっておる。


俺:はあ?
師、お言葉ですが、それでは北海道に波動が届きません。

地球は丸いですから、師のかざされている方向に送信した波動は、まっすぐ進むと宇宙に行ってしまいますが?
だから、北海道に波動送信するには地面に向かって送るべきかと?




俺は真剣に悩んでいる。

師のせっかくの波動が、みな宇宙空間に流れて行ってしまうことを。


だから今度教えてあげよう。

サンパウロに波動送信するときは、足元に向かって送信すべきだと。