
仏檀に線香を上げ、横を見ると径2尺を超すかと思われる大皿と、1尺くらいの中皿が飾ってあった。
おお、この大皿は?!
と訊くと、やはり人間国宝第1号のあの方の息子だか孫だかの作らしい。
隣の中皿は弟の作である。
並べても遜色ない。
上手くなったなあ、というと普段は控え目な弟の嫁さんが、なかなかでしょうと笑顔を見せる。
うーん。
こっちのやつも、持たなければ売れるなあ。
と、玄関に飾ってある皿を手にして私が言う。
弟は私の夢を実現したばかりか、腕は高校時代の私をはるかに上回り芸術の域に達してきた。
なかなかやりおる。
ゴキちゃんフレンドの我が家と比べた次男が、ここはいいなあとしみじみとした感で言葉にする。
ここも昔はネズミフレンドハウスだったんだぞ、との言葉は飲みこんだ。
公務員でありながら、数年先を見越して、すっかり芸術家の館になりつつある。
うーん。長男のできが悪いと、立派な弟ができるもんだわいと感心する。
弟の長男も次男もそれなりの学校にも行けたから、家は安泰だわな。
と思った。
一方、我が家の長男は盆なし1日16時間、残業手当もなしの食うや食わずで限界に挑んでいる。
これは申し訳ない。
私の責任大である。
次男にも、私の1万倍(長男には100万倍)の苦労をかけている。
これは申し訳ないが、今さらどうしようもない。
仕事がないと、ついついこんなことを考えてしまう。
しかし、長男も次男も私よりは大人になってくれた。
これは自慢できることである。