田舎では、下を向いた紫色の花は毒だ、という言い伝えがあった。
これはおそらく、トリカブトやムラサキケマンを意識してのことだろう。
ムラサキケマンというのは、名前もいささか妖しい。

失礼。ケマンとはあちらのことではなく、仏教用語でした。
邪念を捨てねば。
これは田舎でも有名な毒草、キツネノボタン。
キツネノボタンとは、金平糖のような実がなるからキツネの釦だと思っていた。
どうも、葉っぱが牡丹に似ているので、キツネの牡丹からきたようだ。
人だけでなく、ヤギなどの家畜が被害にあうこともある。

こちらは、花自体が危険なわけではない。
これを見て妖しいなと思ったなら、あなたが妖しく危険なだけである。

『O嬢の物語』や『ピンク・フロイド ザ・ウォール』(だったと思う:日本未公開かも)では、こうした表現が使われた。
前者では妖しい雰囲気を観客に想像させるために、後者では狂気迫る毒々しさを意図したのか、観る方が疲れきってしまうくらい、これでもかこれでもかと多用している。
さらに、耳が壊れるくらいの音量でMoneyを流す。
日本では、観客が集まる映画とはとても思えない。
ある意味怖い映画のひとつだ。
恐怖映画という意味ではSAWがぶっちぎりのダントツだが、身体的な危険を感じた映画はこれしかない。
あら、野草の話からとんでもない話になってしまいましたね。