彼とは、わずか2年くらいのお付き合いであったが、大変記憶に残る方だった。
私が出戻りで某会社の下請けに入った頃、彼は子会社の社長から流れて、不思議な肩書きで隣の職場のボスとなった。
私もそうだが、彼もあまりサラリーマン的ではない男だった。
言いたいことを言ってしまうのである。
しかし、私にはとってはいい人だった。
全く分野が違うにも拘らず、同じ先輩を尊敬していた。
3年くらいで彼は仕事を離れ、しばらくは元下請けの顧問のような仕事をしていたが、それも辞め、数年前に最後に会った時には、息子とかあちゃんに食わしてもらってるよワッハッハッハと、いつもの彼らしい笑いをしていたものだ。
風の便りに、先週亡くなったことを聞いた。
ガンらしい。
その病名は、私には意外だった。顔判断だが、ガンにかかる確率は低い男に見えたからだ。
ワッハッハッハの、豪快笑いの無理がたたったのだろうか。
彼は私の仕事の能力はさておき、仕事以外での力は認めてくれ、年下の私にもなんらかの心をもって接してくださっていた。
人生のはかなさ。
改めて思う。
もうすぐ駅に着く。
少し暖まって帰ろう。