三太黒州のつぶやき | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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忘れもしませんよ。だって私がここえ~え~ぞに居る発端となることがありましたから。

申しおくれました。私はこの国にやって来た宣教師です。人によっては密入国者とも、ご禁制破りとかもいうようです。


まあ、それはおいといて。
その夜、つまりノエルの前夜のこと。私は子どもたちにプレゼントをしようと煙突に入りこもうとしたのを、泥棒と勘違いされてしまったのです。

サンタクロースは煙突から入らなければならないというきまり、この国の言葉でいうと法度があるのは知ってますよね。我が国の法律では、聖職者法第381条サンタクロースの行動規律ならびにノエル慣習指針に明記されています。
なお、これら聖職者法に関しては、ゴーグルやラップーの口伝て問屋でも買えますから、ぜひご利用ください。


ところで、私はこの国に来て驚いたことがあります。

まずは、大変こどもを大切にするということです。6歳を過ぎれば立派な労働者として働かせるのが当たり前ですが、この国では兄弟の面倒や煮炊きの手伝いをさせることはあっても、労働者として外で働かせたりはしません。これをするのは大方13歳を過ぎてからです。

また、教育の熱心さは驚嘆に値します。
我が国で文字を理解できる者は、我々聖職者と一部の貴族階級、または不法読本者に限られ、識字者は人口の1パーセントもいません。
ところが、この国では貴族、軍族は言うに及ばず、水呑階級の者たちさえ寺子屋やらに通い、国民の半数近くのものが字を書けはしなくとも読めるのです。
また、一部カサハリなる軍族が、水呑や水蚤を相手にボランティア教育をしています。

したがって、民衆の情報は口伝てという一般的な伝達ではなく、立て札やら瓦版、あるいは黄表紙なる本を介して、文字で行われるのです。これに関しては、何度本国に密書を出しても信じてもらえません。確かに、極東の山猿たちの識字率が5割など、いや、我ら世界のリーダーたる我らラウマ教国を含め、そのような国などこの世にあろうはずがないのです。私もこの国に渡るまで、そんな話を耳にしたことはありますが、全くの造り話として『東端見聞録』に記された草原に住む豚の体をした一角獣やら、鎧を纏った歯のある大カエルやら同様、誇大妄想話として一笑にふしていました。

この国の教育の高さ。
これは、我らラウマ教国さえ飲み込まれかねない脅威です。

この教育の高さを破壊することが、我らへの災いを避け幸福をもたらすものになるでしょう。

勤勉さを破壊するために、彼らの好奇心の高さを利用し、らんちき軽薄本と瓦版で能力を下げることが急務でしょう。




聖歴1859年、蛮歴 万事元年 閏霜月十六夜

ラウマ教国メゾカピルタン セイント・クルーズこと三太黒州 記す
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