それが差し込まれると、中性子が吸収され、一旦連続反応が中断する。
これによって、加圧水温が一時的に低下する。
しかしながら、完全に余熱がなくなったわけでも反応が止まったわけでもない。
徐々に、また水温が上昇し始める。
しばらくすると、加圧水温圧に耐えられなくなった一次冷却水循環配管から、300度以上の一次冷却水が水蒸気となって放出される。
ここで、事実上、密閉型から開放型になったわけだ。
水蒸気放出により、圧力が低下し、当然ながら水温が下がる。
さらに、この水蒸気が防御壁内全体を満たし、再度圧力が高まると、また温度が上昇してくる。
が、防御壁も圧力に耐えられず、一部から水蒸気が漏れ、またも温度が下がる。
別の見方をすると、冷却水を入れたり止めたりしたように見える。
人為ミスというのは、一番平和で安泰な考え方でもある。
だいたい、電源がないとき、どうやって操作したのだろうか。
指令はコンピュータのはず。
いやいや、本体に登って、普通の人間なら1秒未満が限度の緊急冷却水装置付近の栓を、スパナで開けたり閉めたりしたにちがいない。
そうだ。
それに相違ない。