おとめ座と聞くと、なんとはなしに恥じらい、内気というイメージがあり、夜空の中でもひっそりとした姿であるまいか。
そんな思いのあなた。
とんでもありません。
おとめ座は約90ある星座の中で、2番目に大きな星座なのです。
北極星ポラリスで知られるこぐま座の、およそ5倍もの広さがあります。
(ちなみに1番広いのは、うみへび座)
夏が近づく今頃、東から昇ってきますが、梅雨時ということもあり、日本ではなかなか姿を見ずに、さそり座など夏の星座に移ってしまうことが多そうです。
おとめ座のα星スピカも、しし座レグルス同様青白い星(表面温度が高い)の代表で、少なくとも5つの太陽があるようです。
光は一つに見えますが、実はいろんな光の集合体。
うーん。まるで乙女の心のようですね。
さて、神話ではどうなっているでしょうか。
これにも諸説がありますが、面白いのは、冥界の王ハーデース(ゼウスの兄。父親クロノスに食べられてしまう。たいへん繊細なタッチで女性を描いていたゴヤだが、晩年には画風が変わり、この神話を題材にしたグロテスクな絵も描いている)にさらわれた美少女説です。
少女は、なんとか冥界から逃げ出せたのですが、冥界の桃を食べてしまったため、1年の半分は冥界に、1年の半分は天上界にいる(1年の半分は見られない)というものです。
この物語は、旧約聖書のイブがリンゴを食べた話や、イザナギが黄泉の国から逃げ出すときに桃を投げつけた話、あるいは、マヤ神話ポポル・ヴフで、ヒカラの実を食べてしまい妊娠してしまった処女の話など、大変興味をそそられます。
おとめ座。
名前に比べて、天上界のかなりの部分を占め、妖しい光を放つスピカ。
乙女とたかをくくると、痛い目に会いそうです。
ありゃ、なんか星座の話ではなくなってしまった気がしますぞ。
まっ、いいか。
そうそう、大事なことを書き忘れていました。
ハーデースにさらわれた乙女のように、タブーをおかした為に不幸が訪れる話についてです。
こうした話では、浦島太郎、雪女、鶴女房のように、日本では断然男が主人公です。
が、西洋などでは、なぜか女性に多いのですね。
このへんが、今後の私の宿題です。