
韓国といえばキムチ、タイといえばトム・ヤム、四川といえば麻婆豆腐。
これらに欠かせないのはトウガラシだろう。
ナポリタン、ミートソースといえば、ベースにはトマトソース。
イタリア料理の多くは、トマトなしでは考えられない。
また、ケチャップは、一部の方には、日本の醤油同様、必須アイテムだ。
ポテトフライ、ポテトチップ、韓国の麺。
これらの原料はジャガイモだ。
多分、多くの人は、これらが、ずっと昔からある国独自の歴史的食べ物だと勘違いしているだろう。
いやいや、実は、こうしたものが発明されて、まだ500年も経っていない。
コロンブスたちが、カリブ海の小島に着いたのが、西暦1492年。
さらに、そこがインドではなく、ヨーロッパ人の知らない土地であり、ジパング(日本)に行く近道ではないことがわかってきたのが、1510年くらい。
そこに自生、あるいは栽培していたトウガラシだのトマトだのをヨーロッパに持ち込み、世界に広がっていく。
織田信長あたりはトウガラシの辛さを知っていたかも知れないが、それ以前の日本人は、トウガラシの辛さを知らなかったろう。
また、レオナルド・ダ・ヴィンチは、ナポリタンを食べたことがないだろう。
もし、ダ・ヴィンチの時代にナポリタンを食べている映画があったなら、時代考証がデタラメか、ナポリタンのように見えるが、全く別の食べ物だ。
また、タタール(日本人とは親戚)に支配されていたロシアを独立させたイヴァン3世のころ、住民がジャガイモ、トマト入りのボルシチを食べていたりしたら、これまた時代を無視している。
ジャガイモ、トマト、トウモロコシといった、世界3大野菜とも言える食べ物は、みな16世紀に入ってから、西インドととんでもない名前を付けられてしまったカリブ海の島々や、ヨーロッパ人が馬と黒人とを利用して制服したメキシコあたりからの、大変新しい食べ物なのだ。
アジアでは、それなしでは考えられなくなってしまった多くの料理材料である、トウガラシもまたしかりである。
途中下車した駅前にある像。
北関東型美人ではあるが……。

3月28日追記
キムチは、秀吉の朝鮮出兵の折り、半島にトウガラシが伝わってからの発明のようだ。
とすれば、キムチの歴史はせいぜい400年強であろう。
麻婆豆腐は、清時代の発明と言われ、たかだか150年前から人の口に入るようになったらしい。
ナポリタンにいたっては、イタリア料理ではなく、イタリア料理のコピーであり、日本料理である。
どういうことかと言うと、インドカレーを真似た日本カレーが、オリジナル料理とは一線を画すのと同じだ。
ナポリタンの歴史は、50年、いや、長く見ても100年くらいだろうか。
ジャガイモがなかったなら、ロシア革命は起こらなかったかも知れないし、ナポレオンが島流しに遇うこともなかった可能性が強い。